戦後もガザ統治の意向=イスラエル撤退を要求―ハマス幹部ハムダン氏
【ベイルート時事】イスラム組織ハマスの政治部門幹部オサマ・ハムダン氏は12日、拠点とするレバノンの首都ベイルートで時事通信のインタビューに応じた。停戦後もパレスチナ自治区ガザ統治に関与する意向を示し、ハマス壊滅を掲げるイスラエル側との溝の深さを浮き彫りにした。
ハムダン氏はまた、バイデン米大統領が公表した3段階から成るガザの「新停戦案」の一部修正を要求していると述べた。新停戦案は、第1段階の6週間の戦闘停止中にイスラエルとハマスが本格停戦に向けた協議を始め、合意に至ればイスラエル軍がガザから撤退し「恒久的な敵対行為の終結」を実現する第2段階に移行、第3段階でガザ再建に着手する内容。
これに対しハムダン氏は、第1段階をイスラエル軍のガザ撤退期間とし、撤退後、直ちに停戦する第2段階に移行する考えを示した。双方の協議を経ずにイスラエル撤退と停戦を一方的に要求するものだが、ハムダン氏は「仲介国が(新停戦案の)内容を変更してもよいと語った」と主張した。
イスラエルは今回も、ハマスが新停戦案を「拒否した」と反発しているが、ハムダン氏は、イスラエルは国際社会の支持を失っており「条件を指示する立場にない」と批判。新停戦案の交渉妥結は「米国次第だ」と語り、仲介役として米国がイスラエルに圧力をかけるよう求めた。
イスラエルは停戦条件として、ハマスの軍事・統治能力の破壊を挙げ、戦後にガザで存続することを認めていない。しかし、ハムダン氏は「戦後は戦前と同じだ」と断言。パレスチナ評議会(議会)選を行いその結果に従うとしながらも、ガザ統治を続ける意向を強調した。
また、ハムダン氏は「パレスチナに対し干渉する権利は誰にもない」と述べ、パレスチナ人以外が戦後構想に介入することを拒否した。ハマスの武装解除も受け入れない姿勢を示した。
昨年10月から続く衝突で、ガザでは3万7000人以上が死亡したとされる。ハムダン氏は、国際社会がパレスチナ問題に目を向け、イスラエルを「人種差別国家」として再認識したと主張。ハマスのイスラエル奇襲で民間人ら約1200人が死亡したが、「証拠はない」と民間人殺害を認めなかった。
[時事通信社]
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