ライドシェア、全面解禁不透明=河野氏と国交省に隔たり
一般ドライバーが自家用車を使い有償で客を運ぶ「ライドシェア」の全面解禁を巡り、政府内の調整が難航している。IT事業者らの参入を認めるかどうかについて、積極派の河野太郎規制改革担当相と、慎重論の強い国土交通省が対立。岸田文雄首相は全面解禁を視野に法整備に関する考え方を6月にも示すよう指示したが、先行きは不透明だ。
4月に東京都、愛知県、京都府などの一部地域で時間帯を限定して導入された「日本版ライドシェア」は、タクシー会社が運行管理するのが特徴だ。
河野氏と斉藤鉄夫国交相は27日に協議。日本版ライドシェアを全国に広げることや、バス・鉄道事業者の参入を認めることでは合意したものの、IT事業者の扱いに関しては平行線をたどった。
斉藤氏は「公共交通運営や運転者の労働環境に大きな影響が生じる。法制度の検討自体が現場を混乱させる」と訴え、政府会議の報告書や閣議決定で言及すべきでないと主張。これに対し、河野氏は「(現行制度の)検証と並行して法制度の検討を進めるべきだ」と訴えた。
自民党の賛否両派の動きも活発化している。
超党派のライドシェア勉強会は29日、来年の通常国会での法整備を念頭に検討を急ぐよう求める提言を政府に提出。会長を務める小泉進次郎元環境相は記者団に「タクシー業界だけでは足りない中で、それ以外のプレーヤー参入は必要ではないか」と語った。
自民党タクシー・ハイヤー議員連盟も同日、会合を開催。会長の渡辺博道前復興相は記者団に、日本版ライドシェアの導入によりタクシー不足は改善していると強調し、「IT事業者参入の必要性は感じない」と語った。
法整備に関する考え方は、6月に開くデジタル行財政改革会議(議長・岸田首相)で示す予定だ。ただ、政府関係者は「河野、斉藤両氏は折り合えない」と指摘。小泉氏は記者団に「最終的に首相判断になる」との見方を示した。
[時事通信社]
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