2020.12.04 07:11Nation

真相解明、依然遠く 中村医師殺害1年―アフガン

 【ニューデリー時事】アフガニスタンで約30年にわたり医療活動や砂漠緑化に取り組んだNGO「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表、中村哲医師=当時(73)=が武装集団に殺害されてから4日で1年となる。地元当局は捜査を進めてきたが、依然として真相解明には至っていない。一方、中村医師の志を受け継ごうという動きは各地に広がっている。
 殺害現場となった東部ナンガルハル州の知事で、大統領上級顧問のアマルヒル氏は3日、取材に「暗殺犯を特定し、正義を実現することをご遺族や日本国民に誓う」と力を込めた。捜査は地元警察の手を離れ、情報機関の国家保安局(NDS)が担当。長期にわたる貢献を評価され、アフガンの名誉市民権を授与された中村医師の殺害に対し、当局は総力を挙げて捜査を進めている。
 事件に関連し、これまでに複数人が拘束されたものの、いずれも訴追には至らなかったもようだ。中村医師が一部地域のかんがいに成功したことで、他地域から恨みを買ったとの説もあるが、真相は不明なままだ。
 アフガンではこの1年、中村医師の功績を語り継ごうという動きが数多く生まれた。絵本を作製し、子供たちに配布しているNGO「ガフワラ」設立者のザビーフ・マハディさん(32)は、地元で慕われた中村医師の活躍を絵本「カカ・ムラド」(中村のおじさん)にまとめた。
 マハディさん自身、絵本を出版したことで命を狙われるようになり、情報機関から警告を受け、ガフワラの事務所を一時閉鎖した。ただ、「この状況と闘っていくことで中村医師の志を受け継ぐ」と強調した。
 首都カブールでは、事件2日後に生まれた子供に「ナカムラ」と名付けた親もいる。また、ナンガルハル州には「中村記念公園」が造られた。「最も弱い立場の人々に奉仕し続けた」(ガニ大統領)中村医師の志は、アフガン人の中に生き続けている。(2020/12/04-07:11)

2020.12.04 07:11Nation

Late Doctor Nakamura's Passion for Help Alive in Afghanistan


One year after Japanese doctor Tetsu Nakamura was shot dead in Afghanistan, his passion for helping people in the war-torn country lives on, driving his staff to keep aid work going despite challenges brought about by the coronavirus pandemic.
   "Time flies," said Chiyoko Fujita, a 61-year-old executive member of Peshawar-kai, a Japanese aid group based in the southwestern city of Fukuoka.
   Nakamura, the group's representative in Afghanistan, was killed by militants in Afghanistan's eastern Nangarhar Province on Dec. 4 last year, along with five others.
   Even amid the confusion that followed, Fujita worked hard to raise funds so that Peshawar-kai could continue paying salaries to 100 local staff and building irrigation canals.
   The group also suffered fallout from the pandemic. With Jalalabad, capital of Nangarhar, locked down, the group was unable to procure materials and fuel to build irrigation canals.

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