安倍首相、求心力低下浮き彫り 「9月入学」構想頓挫で
政府は「9月入学」の来年度導入を見送る方向だ。新型コロナウイルス感染拡大による休校長期化で検討を進めてきたが、与党内で反対論が強まり頓挫した形。「1強」を誇ってきた安倍晋三首相の求心力低下を指摘する声も漏れている。
首相はかねて大学の9月入学を提唱。小泉政権の官房長官だった2006年に著書「美しい国へ」に記し、第1次政権でも政府の教育再生会議で国公立大への9月入学枠設置などを打ち出した。
今年3月、感染防止のため全国の小中高校で臨時休校が始まると、文部科学省はひそかに始業時期を9月に遅らせるシミュレーションに着手。同省幹部が4月上旬に首相に報告し、「検討を進めておいてほしい」と承諾を得た。
9月入学について、首相は4月29日の衆院予算委員会で「前広にさまざまな選択肢を検討したい」と表明、今月14日の記者会見では「有力な選択肢の一つ」と踏み込んだ。政権内では6月上旬に首相が導入方針を示すことも検討されていた。
ところが、首相官邸と関係府省の調整が進み、構想が具体化するにつれ、自民、公明両党内で「現場や家庭の負担が大きい」などと反対する声が強まった。
政府が緊急事態宣言の解除を決めた25日。「党内は反対意見が多い」と側近から耳打ちされた首相は「そうなのか」と驚いた様子だったという。首相はこの後の会見で「私自身は有力な選択肢の一つと考えてはいるが、与党に極めて慎重な議論もある」と語り、発言を後退させた。
「9月入学は憲法改正と一緒。機運が盛り上がったかと思えば、下がりもする」。政府高官はこう語り、議論継続の余地を残す。しかし、新型コロナ対応が批判されて安倍政権の基盤は大きく揺らいでいる。
自民党中堅は「布マスク配布も9月入学も、官邸がポピュリズムに走った結果だ」と酷評。公明党幹部は「9月入学は体力のある政権でないとできないが、安倍政権ではもう無理だ」と突き放した。(2020/06/01-07:11)
School Initiative Failure Signals Abe's Falling Leadership
The Japanese government's shelving of a proposal to change the start of the school year from April to September at an early date has raised suggestions that Prime Minister Shinzo Abe's authority is weakening.
The government had worked on the plan amid prolonged school closures due to the COVID-19 outbreak, but the proposal met with growing opposition from members of the ruling bloc.
Abe has long called for university enrollment in September. He explained the idea in a book he released in 2006, when he served as chief cabinet secretary of the administration of Prime Minister Junichiro Koizumi.
In his first administration, in 2006-2007, Abe hammered out a plan at the government's Education Rebuilding Council to allow national and other public universities to set up slots for September enrollment.
In March this year, the education ministry quietly launched a simulation to push back school enrollment from April to September, following the closures of elementary, junior high and high schools across the country to prevent the coronavirus from spreading.
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