2021.03.11 04:25Nation

走り続け、立ち止まってきた10年 羽生「僕も、頑張ります」―東日本大震災10年

 書き出しは迷いの言葉だった。東日本大震災発生から10年となるのを受け、フィギュアスケート男子の羽生結弦(26)=ANA=が報道各社の求めに応じて寄せたコメント。「何を言えばいいのか、伝えればいいのか、分かりません」
 五輪を連覇し、国民栄誉賞も受賞した10年の日々。「前を向いて歩いて、走ってきた。それと同時に、後ろをたくさん振り返って、立ち止まってきた」と思い起こす。
 あの日、宮城・東北高1年だった羽生は、地元仙台市のリンクで練習中だった。「16年しか生きていない。自分の人生は短いと思った」と話したことがある。大きな揺れに氷は波打ち、立っていられなかった。このリンクは今年2月13日に起きた地震でも被害を受け、一時営業中止を余儀なくされた。
 被災者の一人として被災地を思い、寄り添ってきた。昨年12月には自身の経験を伝える「羽生結弦展」が始まった。現在は仙台市で開催中で、1年をかけて全国各地を巡る予定だ。羽生が家族と過ごした避難所のスペースの展示もあるなど、防災意識の向上も目的としている。
 一方で、葛藤も続く。自分に何ができるのか、役割は何かを自問自答すると「胸が痛くなる」と打ち明ける。
 今は新型コロナウイルスの感染拡大が人々を苦しめている。昨年12月の全日本選手権で優勝した後、コロナ禍でも好きなスケートを続けていることについて「震災を経験した僕にとっては、申し訳ないというか、罪悪感もある」と語った。それでも出場したのは「ちょっとでも(見ている人たちの)何かの活力になれば、何か気持ちが変わるきっかけになれば」との思いからだった。
 自分の10年間の心の動きや、被災者へのねぎらいの言葉をつむいだコメントの終盤に「頑張ってください」とつづった。何度もこの言葉に支えられ、その力を知るからこそ贈りたい一言だった。そして「僕も、頑張ります」と結んだ。これまで何度も人々に喜びや感動を届ける演技を見せてきた。それはこれからも変わらない。(2021/03/11-04:25)

2021.03.11 04:25Nation

10 Years On: Hanyu Cheers Up Disaster Victims with Phrase That Inspired Him


Professional figure skater Yuzuru Hanyu was initially at a loss for words when he was asked by media to share his thoughts on the 10th anniversary of the March 2011 earthquake and tsunami.
   "I don't know what I should say, what I should communicate," Hanyu said at the beginning of a statement prepared for the remembrance day.
   In the past decade, he has bagged two consecutive Olympic gold medals and received the People's Honor Award in Japan.
   "I looked forward and walked and ran. At the same time, I stopped many times to look back," Hanyu, 26, recalled.
   On March 11, 2011, Hanyu, then a 16-year-old high school student in Sendai, Miyagi Prefecture, was practicing on an ice rink in Sendai when the 9.0-magnitude quake struck off the northeastern Japan prefecture. The ice on the rink undulated due to violent shaking, and he was unable to stay on his feet.

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