ボランティアで恩返しを 地域つなぐ「たこ焼き」―神戸から移住の女性・福島
東日本大震災の後、神戸市から福島県新地町に移住してボランティア活動を続ける女性がいる。1995年の阪神大震災で被災した森悦子さん(57)は、「恩返しをしたい」との思いから、台風や地震などで災害が起きるたびに、被災地支援に取り組んでいる。
2月21日、森さんは同13日に起きた福島県沖地震で震度6強を観測した同県相馬市の民家を訪れた。仲間と共に、壊れた屋根瓦を慣れた手つきで直していく。2018年の大阪北部地震をはじめとした被災地で復旧活動などに従事した経験の持ち主だ。
森さんが生まれ育った神戸市長田区は、阪神大震災で市街地の一部が焼失した。当時、避難所で出会ったボランティアの笑顔が心に残り、「自分にできることがあるなら、いつか恩返しがしたい」と思い続けてきた。
転機は東日本大震災。11年5月、人手が足りないというニュースを見て被災地に向かった。津波被害を受けた新地町での作業を任されたが、「地域全体が流されたような」悲惨な状況に衝撃を受けた。「隣近所のつながりが深い場所だったと聞いて、下町だった長田区と似ていると思った」
同8月に再訪し、仮設住宅でスイカ割りなどのイベントを開いた。住民が喜んでくれたことに手応えを感じ、「10年は支援を続ける」と決意。それ以降、年3回ほどのペースで新地町に通い、交流の場を設けてきた。活動を通じて仮設住宅の自治会長を務めていた夫の和哉さん(51)と出会い、15年に結婚して同町に移り住んだ。
災害公営住宅が整備され、仮設に比べて住人同士で集まる機会が減る中、森さんが力を入れたのは「たこ焼きパーティー」だ。「『具を何にしようか』と自然に会話が生まれるから」と、これまでに約30回開いた。地区会長の清野敏興さん(70)は「親子連れも参加できる場所になった。人を楽しませる姿勢を教えてもらった」と語る。
仕事の合間を縫って自費で活動し、休み無しで走り続けてきた森さん。新型コロナウイルスの影響で、この1年はイベントを開けていないが、「人のためになることが自分の元気になる」と、今後も住民の孤立が懸念される高齢者住宅を中心に活動を続けるつもりだ。(2021/03/11-07:27)
10 Years On: Woman Returning Favors as Volunteer
A Japanese woman has been working as a volunteer in areas hit by typhoons and earthquakes, aiming to return the favors she received after the 1995 Kobe quake.
After the March 2011 quake and tsunami that devastated the country's northeast, Etsuko Mori, 57, moved to Shinchi, Fukushima Prefecture, one of the three hardest-hit prefectures, from Kobe, Hyogo Prefecture, western Japan.
She has a rich experience in disaster relief, having worked in areas, including Osaka Prefecture following a strong quake in 2018.
On Feb. 21 this year, she visited a house in the Fukushima city of Soma, where a magnitude-7.3 quake struck eight days before. With other volunteers, she helped fix the house's roof tiles damaged in the quake.
Mori grew up in Kobe's Nagata Ward, where some urban areas burned down in the 1995 quake. she clearly remembers the smiles of volunteers she met in an evacuation center. "Since then, I've been hoping to return the favors one day if there is something I can do," she said.
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