2025-03-19 21:12国際

イスラエル首相、攻撃継続で政権維持=強硬派極右が連立復帰

 【エルサレム時事】イスラエルのネタニヤフ首相が、イスラム組織ハマスとの停戦合意を実質的に無視して、パレスチナ自治区ガザへの大規模軍事作戦に踏み切ったのは政権維持のためだと指摘されている。1月の停戦合意後、ネタニヤフ政権の連立与党は国会(定数120)で過半数を割り込んだが、軍事作戦を受け極右政党が連立への復帰を表明。ネタニヤフ氏は「戦時体制」を掲げ、国内の統制を強めるという分析も出ている。
 イスラエル政府は19日、極右政党「ユダヤの力」党首のベングビール氏が国家治安相に復帰することが承認されたと発表した。ハマスに強硬な同氏は、停戦合意に反対し同相を辞任。7議席を持つユダヤの力が連立を離脱したため、与党勢力は57議席になっていた。
 ユダヤの力の連立離脱は、ネタニヤフ政権の存続が危ぶまれる状況をもたらした。現在審議中の2025年予算案が今月中に可決されなければ、憲法の規定に従い国会の解散と総選挙の実施が避けられなかった。
 23年10月のハマスによる奇襲を防ぐことができなかったネタニヤフ氏に対する国民の不信は根深い。ネタニヤフ氏が退陣に追い込まれる可能性があったものの、ぎりぎりのタイミングで与党は過半数を回復。予算案可決のめどが立ち、政権存続の道も開けた。
 さらに、ネタニヤフ氏の側近に汚職疑惑が浮上していることも、大規模攻撃の決断に影響したと考えられる。ネタニヤフ氏は戦時であることを口実に捜査を抑え込む構えを見せている。地元紙ハーレツは「ネタニヤフ氏は批判する者を戦時下の反逆者と見なしている」と断じた。
 大規模軍事作戦が始まった18日、商都テルアビブでは大規模デモが行われた。地元メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」によると、約4万人が汚職疑惑の徹底究明を求めるデモに参加。家族がハマスに拘束されている人々も集会を開き、ネタニヤフ政権の対応に不満の声を上げた。 
[時事通信社]

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