トランプ政権、大規模な環境規制緩和を発表
【ワシントンAFP=時事】ドナルド・トランプ米政権は12日、火力発電所の温室効果ガス排出規制、自動車の排ガス規制、水域保護など、前政権の環境政策を対象とした大規模な規制緩和策を発表した。≪写真は米ウェストバージニア州メイズビルの石炭火力発電所「ロングビュー発電所」。資料写真≫
今回の見直しは31項目に及び、環境保護局(EPA)のリー・ゼルディン長官は「米国史上最大かつ最も重要な規制緩和の日になった」と強調。「米国のエネルギーを解放し、自動車産業を活性化させる」と述べた。
最大の見直し対象の一つは、既存の石炭火力発電所と一部の新規ガス火力発電所に対し、二酸化炭素(CO2)回収技術を活用して2032年までに排出量を90%削減することを義務付けた2024年の規制だ。
この規制は、ジョー・バイデン前政権の気候変動対策の柱であり、2047年までに温室効果ガス14億トンを削減できると見積もられていた。これは、2022年に電力部門全体から排出された温室効果ガスの総量に匹敵する。
環境NPO「エバーグリーン・アクション」のチャールズ・ハーパー氏は、「トランプのEPAは、温室効果ガスの排出企業に“気候汚染の無制限フリーパス”を与えた。企業は今日は祝杯を挙げているだろう」と皮肉った。
2027年から適用予定だった自動車の温室効果ガス排出削減を義務付ける厳格な排ガス規制も、今回の見直し対象となった。トランプ氏はこの規制について、「電気自動車(EV)の義務化だ」と批判していた。
EPAは、水質汚染を規制する「水質浄化法(Clean Water Act)」の適用範囲も見直す方針だ。
同庁は、前政権が「合衆国の水域(Waters of the United States)」の定義について、連邦最高裁の2023年の判決に従わなかったと主張している。この判決では、小川(ストリーム)、河川(リバー)、湖、海洋など、「比較的恒久的に存在し、静止しているか継続的に流れている水域」のみを保護対象とするとされた。
環境団体「アースジャスティス」は、この最高裁判断によって、「数千万エーカーに及ぶ湿地が規制対象から外れ、洪水防止の役割を果たしてきた重要な生態系が失われる」と警告。また、「飲料水の供給源となり、観光資源でもある数百万マイルに及ぶ小川(スモールストリーム)も保護対象から外れる」と懸念を示している。【翻訳編集AFPBBNews】
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