対米投資、高まる警戒=トランプ関税、エネ政策転換―日本企業、成長へ暗中模索

トランプ米大統領の就任を受け、日本企業では対米投資戦略に関する警戒感が高まっている。トランプ氏は、脱炭素化の推進をはじめとしたバイデン前政権の看板政策からの転換を強調。世界経済への打撃に懸念が強い高率関税をメキシコなどに課す方針を表明した。日本企業は製品供給網の見直しなど対策の検討を急ぎ、視界不良の中でも成長機会を探っていく構えだ。
日本企業にとって最大の懸念事項は、トランプ氏が大統領選挙中から宣言していた高率関税の導入だ。同氏は就任直後、2月1日からメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すことを検討していると表明。日本を含む一律関税の導入はなお不透明だが、米国市場をにらんだ投資には「コスト高が影響してくる」(森トラストの伊達美和子社長)との懸念は根強い。
米ボストンコンサルティンググループは、トランプ氏が目指す中国に60%、メキシコ・カナダに25%、その他の国に一律20%の関税を適用した場合、輸入費用増は中国からが2107億ドル(約33兆円)、日本からは237億ドル(約4兆円)と試算。影響が大きい自動車や電子機器などの製造業では関税回避へ米国での生産強化など供給網見直しを検討する企業も増えてきた。
一方、トランプ氏は就任するや否や、気候変動対応の国際枠組み「パリ協定」再離脱や電気自動車(EV)普及策撤回などを矢継ぎ早に打ち出した。EV普及の減速はハイブリッド車に強みを持つ日本のメーカーには追い風との見方もあるが、再生可能エネルギー市場拡大などを見込んでいた企業は投資戦略の練り直しも迫られそうだ。
新政権への懸念は脱炭素にとどまらない。反ワクチン論者のケネディ氏が厚生長官候補となったことで「北米製薬会社の投資が先送りになりつつある」(島津製作所の山本靖則社長)といった影響も聞かれる。バイデン前大統領が阻止を表明した日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収に対する新政権の姿勢も注目される。トランプ氏が買収阻止の方針を転換しなければ、対米投資に二の足を踏む企業も増えそうだ。
もっとも、4年間で1000億ドルの投資計画を公表したソフトバンクグループのように、新政権との関係構築を着々と進める企業も少なくない。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、米国でロビー活動を加速する企業も増えているという。
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