湛山引用「相互に協力」訴え=石破首相「少数与党」踏まえ―所信表明演説
「力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず―」。石破茂首相は29日、所信表明演説の冒頭で1957年の石橋湛山内閣の施政方針演説を引用し、合意形成に努める姿勢を強調した。
首相は熱心な「湛山ファン」で、石橋氏が学長を務めた立正大学に講演に出向いたり、超党派国会議員の勉強会にも参加したりしてきた。政府高官は「民主主義を強化し、バランスを失うことなく国家を運営するなど、首相は非常に思いを共有している」と説明した。
8月に出版した自著「保守政治家」でも紙幅を割いた。戦前、石橋氏が日本の拡張主義を批判して唱えた「小日本主義」を取り上げ、「一方が得して一方が損する外交は長続きしない」と記した。「余談」として、65日間と短命政権だった石橋元首相の在職中に自身が生まれた「縁」にも触れた。
「数の力」を失った少数与党の今国会では、野党の理解なしには予算案や法案を成立させられず、内閣不信任決議案を否決できる保証もない。小日本主義が示す「ウィン・ウィン」の理念を、国会運営でも実践したいとの思いもにじませた。
今回の演説は10月に行った演説より約800文字少ない約8700文字だが、締めくくりでも再び引用。「地方的利害や国民の一部の思惑に偏することなく、国民全体の福祉をのみ念じて、議論を尽くしていくように努めたい」と結んだ。
[時事通信社]
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