国内初、原発運転50年=人材育成が課題―関電高浜1号機
国内の稼働原発で最も古い関西電力の高浜原発1号機(福井県高浜町)が今月、国内の原発史上初めて運転開始から50年を迎えた。来年6月の「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」施行により、「60年超」運転の対象となる可能性があり、老朽化した設備の安全管理に加え、知識や技術の継承による人材育成が課題となっている。
1号機は1974年11月、国内の商用原発として8番目に運転を開始した。東京電力福島第1原発事故後の2016年に原子力規制委員会から運転期間60年まで20年間の延長認可を取得。昨年7月、約12年ぶりに再稼働した。
政府は福島原発事故を受け、原発の新増設と建て替えを凍結し、運転期間を「最長60年」としてきた。しかし、岸田前政権下で政策を大幅に転換。建て替え推進や事実上の運転期間延長など「最大限の活用」へとかじを切った。
これを受けて高浜1号機も今年10月、GX法の下で必要となる施設管理計画を規制委に申請。現在、国内で再稼働している13基のうち4基は40年超で、高齢原発が大きな役割を果たしている。
関電の森望社長は、高浜1号機について「安全最優先を積み重ねていくことが重要だ」と強調。60年超運転は未定としつつ、長期運転は「業績面での(プラスの)影響や、電力を安定供給できる点でメリットがある」と語った。
福井県の原子力安全専門委員会で委員を務める同県立大の藤野秀則教授(安全管理)は、「長期運転を続けると、前例のない故障やトラブルが起きる可能性がある」と指摘。東日本大震災後の長期停止などを背景に、技術者や運転経験のある作業員が減る中で、ノウハウや技術を若い世代に伝えるための人材育成を課題に挙げる。
その上で、電力会社は「過去のトラブルをデータとして振り返るだけでなく、なぜ起きて、現場の当事者が何を考え、どのように対処したかを詳細に振り返る『ストーリー共有型』の教育体制が必要だ」と提言。「自社の社員だけでなく、運転に携わる協力会社社員の技術力を把握、管理することも重要だ」と述べた。
[時事通信社]
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