「年収の壁」引き上げ焦点=自公国、政策協議へ
自民、公明両党は3連休明けの5日以降、国民民主党との政策協議に入る。国民側は、年収が103万円を超えると所得税が課される「年収の壁」の178万円への引き上げを主張。自民側は、全面的に受け入れれば7兆~8兆円程度の税収減になると懸念しており、協議を通じて着地点を探りたい考えだ。
政策協議は、国民の榛葉賀津也幹事長が自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長と個別に会談して合意。自公は5日か6日から、3党の政調会長による協議開始を想定している。
これに対し、榛葉氏は自公と「1対1」の個別協議を求めている。国民は5日に立憲民主党との党首会談を予定。日本維新の会とも調整したい考えで、日程はずれ込む可能性がある。
国民側が3党協議に難色を示すのは、「与党寄り」と見られることを避けるとともに、「1対2」の構図では主張を十分に反映できない恐れがあるためだ。公明は自民に比べ、給付や分配を重視。実際、西田氏は榛葉氏との会談で「年収の壁突破チーム」設置を提案した。国民が公明を引き寄せれば「国・公対自民」の構図となり得る。
国民の玉木雄一郎代表は1日のインタビューで、協議に関して(1)「年収の壁」の見直し(2)ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除―を最優先課題と位置付けた。「100%全部できるとは思っていない」としつつ、「譲れないところはある。178万円を強く求めていく」と強調。財源不足を問題視する声に対しては「7兆円減収でも、国民所得が7兆円増えればいい」と反論した。
一方、林芳正官房長官は記者会見で、「年収の壁」の見直しについて、低所得者より高所得者の方が減税の恩恵は「大きい」とけん制。トリガー条項の凍結解除に関しても「販売・流通現場での実務上の課題が指摘されている」と慎重な考えを示した。
ただ、与党は衆院選で大敗して過半数を失った。国民が対決姿勢に転じれば、2024年度補正予算案の年内成立や、25年度予算案の年度内成立が危ぶまれるだけでなく、内閣不信任決議案が可決される可能性もある。
「協議は『国民ペース』で進めざるを得ない」。自民中堅はこう指摘した。
[時事通信社]
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