上皇后さま、90歳に=毎日リハビリ、能登に思い
上皇后さまは20日、90歳(卒寿)の誕生日を迎えられた。今月、お住まいの仙洞御所(東京都港区)内で転倒して右大腿(だいたい)骨上部を骨折し、東大病院に入院して手術を受けた。術後の経過は順調で、13日に退院し、同御所で毎日、午前と午後で計1時間以上、自力歩行に向けリハビリに取り組んでいる。
側近によると、入院前までは上皇さま(90)と静かで規則正しい毎日を過ごしていた。これまでの全国各地への旅を思い起こし、社会の出来事や人々の暮らしに目を向け、物事が良き方向へと進むことを願っている。元日に起きた能登半島地震の被災地を案じ、報道に接するたびに心を痛め、9月の能登地方の大雨被害で被災者への思いを深めている様子という。
能登半島地震を受け、今年は検診などを除き、昭憲皇太后の110年祭で明治神宮を参拝した4月9日が最初の外出となった。5月には、上皇さまが戦時中に疎開した栃木県日光市を訪れ、当時を振り返る上皇さまの話に終始耳を傾けた。
音楽を通じたつながりを大切にしており、7月に皇居・桃華楽堂で行われた上皇ご夫妻の卒寿を祝う音楽会には、長く交流のある6人の演奏家が出演。心のこもった演奏に感謝を示した。
今年大学を卒業した天皇、皇后両陛下の長女愛子さま(22)や、成年となった秋篠宮家の長男悠仁さま(18)の成長を喜び、両陛下や皇族方の活動を静かに見守っている。とりわけ、結婚以来深く信頼し、3月から入院中の三笠宮妃百合子さま(101)の体調を気に掛けている。
現在は車いすで生活しており、日課だった朝夕の散策は中断しているが、朝食後の上皇さまとの音読は退院後に再開。今は上皇さまが選んだ池宮城秀意著の「戦争と沖縄」を読んでいる。
側近は「リハビリを続ければつえを突いて歩くことが可能になり、活動の範囲が広がる。それからお出ましの機会も考えたい」と話している。誕生日の祝賀行事は昨年と同様、仙洞御所で簡素な形で行われる。
[時事通信社]
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