2024-10-13 14:25社会

神経や筋肉、消化管が一体化=クシクラゲ2匹、傷口から融合―2時間で完了・国際チーム実験

2匹のクシクラゲを傷つける実験で、傷口同士がくっついて1匹に融合した様子(基礎生物学研究所の城倉圭研究員提供)
2匹のクシクラゲを傷つける実験で、傷口同士がくっついて1匹に融合した様子(基礎生物学研究所の城倉圭研究員提供)

 クシクラゲの一種は、2匹がそれぞれ傷つくと、傷口同士がくっついて約2時間で融合することが実験で分かった。神経や筋肉、消化管が一体化して1匹のように機能しており、傷の再生能力が高いだけでなく、自分と他の個体を区別する仕組みがないためだという。基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)の城倉圭研究員らの国際研究チームが13日までに米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表した。
 クシクラゲは刺胞(しほう)動物のクラゲに似ているものの、原始的な有櫛(ゆうしつ)動物に属する。実験対象は学名が「ムネミオプシス・レイディ」と呼ばれ、体はほぼ透明で大きさが5センチ程度。
 融合現象は海で個体がばらばらに浮遊している自然状態では起きないとみられるが、水槽で複数を飼育していると起きる。米ウッズホール海洋生物学研究所(マサチューセッツ州)の研究者が発見し、1937年に論文で報告した。
 城倉研究員らは昨年夏、同研究所近くの海で採集した2匹ずつ10組について実験したところ、9組が融合し、その後飼育を打ち切るまで約3週間生きていた。片方の個体をつつくと、融合した全身の筋肉がびくっと収縮。蛍光物質で目立つようにした小さな甲殻類を餌として片方の口に入れると、融合相手の肛門から排せつされたため、神経や筋肉、消化管が1個体のように機能していると判断した。
 城倉研究員は「融合のメカニズムを分子レベルで調べたい」と話しており、動物の同種間で自分と他の個体を区別する仕組みが進化した過程の解明が期待される。 
[時事通信社]

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