平和サミット、11月開催断念か=地ならし難航、ロも態度硬化―ウクライナ
ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー政権が、和平案を協議し対ロ圧力を強めるため提唱する第2回「平和サミット」について、目標だった11月の開催を断念したという見方が強まっている。地ならしを行うはずだった今月12日のドイツでの米英独仏4カ国首脳会談が中止されたのに加え、ウクライナが参加を求めるロシアのプーチン政権が態度を硬化させているためだ。
侵攻開始から2年半以上が経過。ロシアがウクライナ東部の占領地を広げる一方、ウクライナは対抗してロシア西部で越境作戦を続けており、双方が譲らず出口の見えない状態だ。
「11月には、まだ平和サミットを開けない」。ウクライナ大統領府高官は最近、自国メディアにこう明かした。捕虜や占領地から連れ去られた子供の帰還といった議題を詰める準備会合が、今月末にずれ込んでいることも理由に挙げた。
第1回の平和サミットは6月にスイスで開催された。主導するゼレンスキー大統領は、初回不在だったロシアを第2回に参加させて和平案に実効性を持たせるとともに、自身が掲げる「戦勝計画」にお墨付きを得たい考えとみられている。
ただ、「戦勝」のカギとなる米欧製長距離ミサイルの使用制限緩和は、ロシアの報復を恐れる供給元の同意を得られていない。ゼレンスキー氏は、11月の米大統領選でウクライナに譲歩を迫るトランプ前大統領が返り咲くシナリオに備え、戦勝計画への道筋を付けたいところだが、バイデン大統領の訪独は米国のハリケーン対応で流れた。
それでもウクライナは、平和サミットの「年内開催」(駐トルコ大使)を視野に入れる。今月9日、ゼレンスキー氏は「10~12月に、平和と安定に向かうチャンスがある」と強調。「遅くとも来年までに戦争を終わらせる」ための支援を国際社会に要望した。
一方、プーチン政権は米欧製の長距離ミサイル攻撃を警戒。圧力が目的の平和サミットに「ロシア代表は参加しない」(ザハロワ外務省情報局長)と反発した。
[時事通信社]
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