イスラエル、イランとの緊張緩和困難=アラブ諸国は関係改善継続に期待
【カイロ時事】イラン大統領選で国際社会との対話重視を掲げた改革派ペゼシュキアン元保健相が当選した。アラブ諸国はライシ政権が進めた関係改善の進展を期待するが、現体制が発足した1979年のイラン革命以降、敵対するイスラエルとの緊張緩和は困難だ。
イランは中東各地に軍事・財政面で支援する代理勢力を抱え、「抵抗の枢軸」を形成している。イスラエルは、その一角を占めるイスラム組織ハマスとパレスチナ自治区ガザで9カ月間にわたって交戦。同国北部ではレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとも攻撃の応酬を続けている。
イランは、イスラエルがヒズボラに本格攻撃を仕掛ければ「壊滅的な戦争になるのは確実だ」(イラン国連代表部)と警告。イスラエルのカッツ外相は「脅迫する政権は、打ち砕かれなければならない」と反発した。両国は4月に双方の本土を狙った攻撃を行ったばかり。地域紛争の火種が消える兆しは見えない。
一方、イスラム教スンニ派の盟主を自任するサウジアラビアは昨年3月、厳しく対立してきたイランとの外交関係修復で合意した。サウジは核開発を継続するイランへの警戒を解いてはいないが、対立よりも安定を戦略的に選んだ形だ。こうした関係改善の流れはエジプトや他の湾岸諸国にも拡大した。
サウジの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子は6日、声明で国際協調を目指すペゼシュキアン氏の勝利を歓迎した。イランとの「関係の深化と発展への熱意」を強調した。
エジプトのイラン政策の専門家モハメド・ハイリ氏は、イランの対外政策は最高指導者ハメネイ師が決定すると指摘。「中東地域に大きな影響はない」と述べ、ライシ政権の融和的な対アラブ政策に変更はないとの見方を示した。
[時事通信社]
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