2024-06-07 09:57

能動的サイバー防御、早期法案化指示=有識者会議が初会合―岸田首相

 政府は7日、サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に関する有識者会議の初会合を首相官邸で開いた。岸田文雄首相は「サイバー対応能力の向上は急を要する課題だ。会議の成果を踏まえ、可能な限り早期に関連法案を取りまとめてほしい」と関係部局に指示した。早ければ今秋に見込まれる臨時国会への提出を目指す。
 会議を所管する河野太郎デジタル相は、論点として(1)官民の情報共有強化(2)攻撃元のサーバー検知の在り方(3)政府への権限付与―の三つを挙げ、「数カ月以内に成果を報告してほしい」と求めた。憲法との整合性も焦点になる見通しで、河野氏は「国民の権利利益の保護を図りながら、欧米の主要国と比べて遜色のない体制を実現しなければならない」と強調した。
 能動的サイバー防御は、平時から通信を監視し、攻撃の予兆を検知すれば、相手方のサーバーに侵入して無害化する措置。北朝鮮や中国などによるサイバー攻撃の脅威が高まり、政府は2022年改定の国家安全保障戦略に導入方針を明記した。 
 導入を巡っては、憲法21条が規定する「通信の秘密」との兼ね合いが課題。許諾なくデータへのアクセスを禁じる不正アクセス禁止法や電気通信事業法などの改正も必要となる。サイバー攻撃への対処で、監視する通信対象の範囲など、政府にどの程度の権限を与えるかも焦点だ。
 メンバーは、佐々江賢一郎・元駐米大使や、憲法が専門の宍戸常寿・東大大学院教授、「日本のインターネットの父」と呼ばれる村井純慶応大教授ら17人。
 
 ◇有識者会議メンバー
 上沼紫野(弁護士)
 遠藤信博(NEC特別顧問)
 落合陽一(筑波大准教授)
 川口貴久(東京海上ディーアール主席研究員)
 川添雄彦(NTT副社長)
 酒井啓亘(早大教授)
 佐々江賢一郎(元駐米大使)
 宍戸常寿(東大院教授)
 篠田佳奈(BLUE代表取締役)
 辻伸弘(SBテクノロジー・プリンシパルセキュリティリサーチャー)
 土屋大洋(慶大院教授)
 野口貴公美(一橋大副学長)
 丸谷浩史(日本経済新聞社大阪本社代表)
 村井純(慶大教授)
 山岡裕明(弁護士)
 山口寿一(読売新聞グループ本社社長)
 吉岡克成(横浜国立大院教授)
(注)五十音順、敬称略
[時事通信社]

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