柏崎刈羽再稼働、泉氏前向き=野党連携・消費減税で温度差―立民代表選4候補が討論
立憲民主党代表選(23日投開票)に立候補した野田佳彦元首相(67)、枝野幸男前代表(60)、泉健太代表(50)、吉田晴美衆院議員(52)は7日、日本記者クラブ主催の討論会に臨み、経済政策や野党連携などを巡って論戦を交わした。泉氏は東京電力ホールディングス(HD)の柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に前向きな考えを表明。他の3人は慎重な姿勢を示した。
泉氏は「安全対策の審査、地元の同意、避難計画が全部満たさなければ稼働はできない」と指摘した上で「すべてをクリアしたものを動かすことはあっていい」と述べた。最終的に「原発ゼロ」を目指すとも強調した。
野田氏は「再生エネルギーの大々的普及を含め、原発に依存しない社会を目指す」と指摘。枝野氏は「廃炉作業などは100年単位で(原発を)ゼロにすると言うとあすにも全部なくなると誤解を招く」、吉田氏は「原発のない社会を目指す」と訴えた。
次期衆院選での他野党との関係に関し、野田氏は「穏健な保守層まで(支持を)取りに行く」と話し、日本維新の会との協力に前向きな考えを示した。枝野氏は維新との連携を否定。泉氏も「極めて難しい」と語った。枝野、泉両氏は国民民主党とは連携を強める方針を示した。
枝野氏は共産党とは「安全保障や天皇制で(考えが)全然違う。包括的な連携は難しい」と説明。泉氏も「共産党とは共に政権を担うことはできない」と明言した。
消費税減税を巡っては、泉、吉田両氏が前向きな考えを示した。泉氏は「食料品の税率を軽減することで低所得者向けの効果がある」と主張。これに対し枝野氏は「消費税を下げても焼け石に水だ。中・低所得者向けの給付で支えるべきだ」と反論した。野田氏は「一回下げたら戻すのはものすごい大変だ。軽々にそれ(減税)でいいとは思わない」と述べた。
自民党の派閥裏金事件を含む「政治とカネ」の問題を解決するため、4人は政権交代が必要だとの認識で一致。野田氏は「自民党は不祥事のけじめをつけていない。政権交代で実現ができる」、枝野氏も「裏金議員やそれをかばっている政治家を選挙で落とす」と主張した。
〔横顔〕野田佳彦氏
◇政権交代へ全力
民主党政権3人目の首相を務め、自らを「昔の名前」と評して代表選への出馬には慎重だった。中堅・若手らの待望論を受け、政権交代へ全力を傾ける。かつて激しく対立した小沢一郎衆院議員の支援も得たが、首相在任中に消費税増税を打ち出して政権転落を招いた「戦犯」との批判は党内に根強い。格闘技ファン、酒豪で知られ、地元の駅頭で30年以上にわたり毎朝ビラ配りを続けてきた。親しい議員のお祝いによく贈る下着の赤いパンツをはいて代表選に臨む。67歳。
〔横顔〕枝野幸男氏
◇経験武器に復権狙う
旧立憲民主党の創設者。代表として臨んだ前回2021年衆院選では、公示前勢力を割り込む敗北を喫して代表を辞任。共産党との選挙協力を進めたことで「立憲共産党」との批判を招いた。弁護士出身の理論家で、実務能力には定評がある。民主党政権下では官房長官として東日本大震災の対応に当たり、経済産業相、幹事長などを歴任。豊富な政治経験を武器に復権を狙う。アイドル好きとして知られ、趣味のカラオケでは中学・高校時代の合唱部で鍛えた歌唱力を披露する。60歳。
〔横顔〕泉健太氏
◇敵つくらぬ性格
党の顔でありながら足場の弱さがネックで、告示前日の6日にようやく出馬表明にこぎ着けた。4人兄弟の末っ子として札幌市に生まれ、小学生の頃に政治を志す。大学は京都の私立大学に進学した。2003年衆院選に京都3区から出馬し、29歳で政界入り。50歳にして当選8回を重ねる。同僚からは「裏表がなく、敵をつくらないタイプ」と評される。学生時代は弁論部に所属。災害ボランティアなどにも取り組んだ。ウサギを飼っており、SNSに動画や写真を投稿している。
〔横顔〕吉田晴美氏
◇自民元幹事長に金星
前回2021年衆院選で自民党の石原伸晃元幹事長を破って初当選し、注目を集めた。政治手腕は未知数ながら、「永田町に染まっていない1期生、生活に密着した女性の視点で論戦を喚起したい」と立候補を決意した。山形県の青果商の長女として生まれ、投資・証券会社員を経て民主党政権の小川敏夫法相の秘書官を務めた。甲状腺がんを患ったことが政治家を志すきっかけで、民主党の候補者公募に応じた。特技は山形の郷土料理とカラオケ。演歌や民謡も歌うという。52歳。
◇立民・泉代表の3年間
2021年11月 衆院選敗北で辞任した枝野幸男代表の後継に就任
22年 4月 初陣の参院石川補選で敗北
7月 参院比例代表で維新が「野党第1党」に
8月 岡田克也幹事長と安住淳国対委員長を起用
23年 4月 衆参5補選で公認3候補全敗
5月 次期衆院選で150議席獲得できなければ辞任と表明
10月 衆参2補選で支援候補が1勝
共産党と次期衆院選での連携確認
12月 「ミッション型内閣」構想を提唱
24年 2月 党大会で「次期衆院選で政権交代を必ず成し遂げる」
4月 衆院3補選で全勝
7月 東京都知事選で支援した蓮舫氏が敗北
9月 代表選に再選を目指して出馬
[時事通信社]
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