イスラエル、イランに明確なメッセージ=沈静化でガザ注力―見据えるラファ侵攻
【カイロ時事】イスラエルは19日の報復攻撃で、イランに反撃を許さない明確なメッセージを送ったとされる。双方は幕引きを図っているもようで、沈静化に向かえば、イスラエルは再びイスラム組織ハマスとの戦闘に注力するとみられる。イスラエルが見据えるのは、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの地上侵攻だ。
イランが13日から行ったドローンやミサイルによる攻撃への報復について、イスラエル側から公式の発表はない。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は20日、西側当局者の話として、イスラエルは、ドローンをイラン国内から飛ばしたほか、イスラエルとイラン双方の領空から離れた場所で、戦闘機が少なくともミサイル1発を撃ったと伝えた。
標的は、イラン中部イスファハン州ナタンズにある核施設の防護用の防空レーダーとされる。イスラエルはイランの防空システムをかいくぐる技術を用いたといい、イラン当局者2人は同紙に、領空に侵入するいかなる飛翔(ひしょう)体も検知しなかったと語った。
イスラエルは当初、大掛かりな報復を計画したが、限定的な攻撃に切り替えたという。それでもイスラエルの治安当局者は時事通信に、「イランは、次は核施設が狙われることを理解した」と指摘。米軍関係者もFOXニュースに、イスラエルはイランに対し、「手を伸ばせば触れられる」という意思を伝達したと分析した。
このまま事態が収束すれば、イスラエルは人質が残るガザでの戦闘に集中するとみられる。英紙ガーディアンは18日、イスラエルのネタニヤフ首相が、ラファでの地上作戦に取りかかると西側諸国に伝えたと報道。ラファ侵攻が近づいている可能性がある。
イスラエルの元国防省顧問で、ライヒマン大国際テロ対策研究所のエリ・カルモン上級研究員は時事通信に、残存するハマス部隊掃討と、境界を接するエジプトからの武器密輸を阻止するため、「ラファでの作戦は極めて重要だ」と指摘。ラファを制圧しなければ、ハマスは態勢を立て直すと見通した。
ただ、避難民ら約150万人が身を寄せるラファでの作戦には、民間人が多く巻き込まれる恐れがある。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は18日、イスラエル側に改めて懸念を表明。「留意する」と答えたイスラエルが今後、どう出るかが焦点だ。
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