大量の武器提供でロシア接近=国連パネル廃止なら核開発加速―北朝鮮
【ソウル時事】北朝鮮はウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、大量の武器や弾薬の提供をテコに接近を強めてきた。北朝鮮の国連安保理制裁逃れを調べてきた専門家パネルが廃止されれば、ロシアの「庇護(ひご)」の下、核・ミサイル開発が加速しかねない。
「現行犯が捕まらないよう、監視カメラを壊すようなものだ」。韓国の黄浚局国連大使は28日の安保理会合で、ロシアの拒否権行使を厳しく非難。「核不拡散体制や安保理の機能維持よりも、ウクライナ侵攻に必要な弾薬や弾道ミサイルを調達するため、北朝鮮をかばうことに関心があるようだ」と指弾した。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は昨年9月に訪ロしてプーチン大統領と会談し、連携強化で一致した。これと前後して北朝鮮は、ウクライナ侵攻で不足する弾薬や短距離弾道ミサイルの提供を始めたとされる。韓国国防省によると、これまでに7000個超のコンテナがロシアへ運ばれた。
核開発を進める北朝鮮との武器取引は、安保理の制裁決議に違反する。専門家パネルは今月公表した報告書で、船による輸送ルートやコンテナの数に触れ、北朝鮮から武器が運ばれたとみられる様子を詳述。ロ朝間を行き交う船などを捉えた人工衛星画像も公開した。
「安保理常任理事国として同意してつくったルールを自ら破っている」(韓国政府関係者)とされるロシアには、専門家パネルが目障りな存在になっていたようだ。
黄氏は「ロシアの利己主義によって、重要な組織が活動を中止することになる」と訴え、制裁が骨抜きとなることに危機感を示した。韓国軍によると、北朝鮮は最近、安保理決議で禁止された軍事偵察衛星の打ち上げを準備。打ち上げに必要な技術をロシアが提供したとの見方も出ている。
[時事通信社]
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