列車乗っ取りに衝撃=テロ増加、米軍武器流入指摘も―パキスタン
【ニューデリー時事】パキスタン南西部バルチスタン州で起きた列車乗っ取り事件は「前代未聞の攻撃」(シャリフ首相)として、同国に大きな衝撃を与えた。当局は過激派掃討に力を入れているものの、むしろテロは増加。背景には、2021年に隣国アフガニスタンから撤収した駐留米軍が現地に残した武器の流入があると言われる。
事件は11日に発生。バルチスタン州の分離独立を目指す過激派「バルチ解放軍(BLA)」が440人を乗せた列車を襲い、乗客を人質に取った。治安部隊が襲撃犯33人を殺害して制圧。BLAによる犠牲者は民間人を含めこれまでに31人に達した。
BLAは当局を標的にしたテロに加え、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の下で開発に当たる中国人技術者への襲撃も目立つ。
ラホール経営科学大のライス教授(政治学)は時事通信の取材に、BLAは主に同州の疎外された民族バルチ人で構成され、「不公平感と、州の資源が住民の利益にならない形で搾取されているとの考えに突き動かされている」と指摘した。
首都イスラマバードのシンクタンク「安全保障研究センター」(CRSS)によると、パキスタンで24年に起きたテロ関連死者は前年比66%増の2546人で、過去9年で最悪だった。イスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP)」などBLA以外の組織も活発化している。
今回使用された武器は明らかになっていないが、軍統合広報局のチョードリー中将は14日の記者会見で、特にバルチスタン州でテロが増えている理由に「米軍が残した兵器を過激派が入手できるようになった」ことを挙げた。銃器に加え高性能の暗視装置も含まれているという。アフガンを掌握したイスラム主義組織タリバンを通じ、国境を越え過激派に渡っているとみられている。
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