世界のマエストロ 小澤征爾氏

ウィーン国立歌劇場音楽監督などを歴任し、戦後日本のクラシック音楽界をけん引した世界的指揮者、小澤征爾(おざわ・せいじ)さんが2月6日、心不全のため東京都内の自宅で死去した。88歳だった。 1935年、旧満州(中国東北部)生まれ。桐朋学園女子高音楽科(共学)で指揮者の斎藤秀雄に師事。桐朋学園短大卒。59年に渡仏し、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。カラヤン、バーンスタインらの指導を受け、カナダ・トロント交響楽団指揮者、米サンフランシスコ交響楽団音楽監督などを歴任した。 73年から約30年間、米国で有数のボストン交響楽団の音楽監督を務め、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする欧州の名門楽団への客演も重ねた。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の2002年ニューイヤー・コンサートで指揮者に選ばれ、同年から10年までウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めた。 斎藤門下生を中心に結成したサイトウ・キネン・オーケストラは海外でも評価が高く、92年から長野県松本市で「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」を開催。15年からは「セイジ・オザワ松本フェスティバル」(OMF)に名称を変え、小澤さんが総監督に就いた。他にも水戸室内管弦楽団、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトなどを通じ、若手育成に注力した。 10年にがんで食道を摘出。翌年に腰痛で手術を受けた後は、断続的に休養期間を挟みながら、そのたびに復帰を果たした。 16年、松本でのライブ録音「ラヴェル※(※=英記号のコロン)歌劇『こどもと魔法』」で米グラミー賞(最優秀オペラ録音部門)を受賞。昨年9月には、OMFの公演に車いすで登場し、指揮を務めた米国の作曲家ジョン・ウィリアムズさんと旧交を温めた。 08年に文化勲章を受章。長女征良さんはエッセイスト、長男征悦さんは俳優。写真は2016年撮影 【時事通信社】

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