【女子ゴルフ】稲見萌寧 (15/42)
東京五輪のゴルフ女子で銀メダルを獲得した稲見萌寧=埼玉・霞ケ関CC【時事通信社】 ◇ ◇ ◇ 日本ツアーでの快進撃のようにスコアを伸ばし、大舞台を楽しみながら新たな歴史をつくった。稲見がゴルフで日本勢初のメダル獲得。自身のスコアを意識してプレーし、「人生で一番、名誉なこと」と声を弾ませた。 10歳でゴルフを始め、東京都内から練習環境の整った千葉県内に転居。1日10時間も球を打ち続け、試合が終わった翌日も欠かしたことのない「練習の虫」。武器である正確なショットは「初めてクラブを握った時から空振りを一切せず、いいスイングで打てていた」と、本人は振り返る。努力が才能に磨きをかけ、五輪でキャディーを務めた奥嶋誠昭コーチは「絶対音感ならぬ『絶対距離感』を持つ」と評した。 自分自身を「究極に追い込まれたら、力を発揮するタイプ」と分析。その背景には、2018年の最終プロテストがある。ボーダーライン前後で迎えた最終ホールのバーディーパットは3メートル。外せば不合格だった一打を人生を懸けて決め、通過圏内に滑り込み。そんな経験も晴れ舞台で生きた。 確かな技術と強い心を持った22歳は日本ツアーの永久シード(通算30勝)獲得に向け、「ぶっちぎりの実力を目指している」という。今年はトレーニングにキックボクシングを採り入れるなど、体力面も強化し、前半だけで5勝を挙げた。 座右の銘は、プロテスト合格後に死去した祖父から学んだ「忍耐」。最終ラウンドの前半は、シビアなパーパットもあった。「忍耐」が求められた展開をしのぎ、後半のバーディーラッシュにつなげて銀メダルを引き寄せる。ゴルフを教えてもらった祖父に対し、「今年は自分なりに頑張っているよ、と言いたい」と感謝した。 新旧の世界ランキング1位の2人とともに表彰台に上り、日本ツアーで培った実力を証明。「日本開催の五輪で、日本人がメダルを取れた。そこが一番うれしかった」としみじみ。海外の人でも覚えやすいようにと名付けられた「モネ」の名は、世界中に響き渡った。(2021年08月07日)