コロナにナマハゲ苦悩 「やめれば男鹿に何残る」―伝統継承と感染不安交錯・秋田
大みそかの夜、「泣く子はいねが」などと雄たけびを上げ、鬼の形相で家々を訪れる秋田県男鹿市の伝統行事「ナマハゲ」が新型コロナウイルスに揺れている。市は伝統継承の点から実施を促すが、開催を決めた地区で賛同の声と感染への不安が交錯。年末が迫り、多くの地区が苦悩の中で判断を迫られている。
山の神の化身とされるナマハゲは人々を戒め、災禍をはらうといわれ、人々が酒や食事でもてなす。2018年にユネスコ無形文化遺産に登録され、現在は男鹿市内148地区のうち約90地区で行われている。
市は11月中旬、実施に前向きな地区に感染対策をまとめた書面を配布。菅原広二市長は記者会見で「一度止めると再開が難しい」と述べた。今年は7地区が実施を、6地区が中止を決めたが、80地区は検討中という。
「男鹿からナマハゲを取れば何が残るのか」。岩倉地区の「盆踊りなまはげ保存会」は実施を決めた。今年は酒の回し飲みなど飲食を禁止し、ナマハゲ面の下でのマスク着用や玄関先での訪問を徹底する。同会は「長年の伝統を止めたくない」と実施に踏み切ったが、吉田幸太会長(41)は「初めての試みで、どういう対策がふさわしいのか」と不安をにじませる。
一方、例年100軒以上の家を訪ねる芦沢地区振興会は中止を決定。同地区には多くの観光客が訪れ、帰省者がナマハゲを担うことも少なくないが、実施すれば県外からの参加を断らざるを得ないという。同会の武田泰明事務局長(41)は「断腸の思い。来てはいけないとは言いづらいし、厄をはらうナマハゲがリスクを背負うのもどうか」と語る。
同じく中止する双六地区では、約10年前から国際教養大(秋田市)の留学生らがナマハゲなどを務めてきた。地元の担い手は平均年齢が70代と高齢化が進み、行事を帰省者や留学生ら若手が支える。同地区振興会の三浦幹夫会長(71)は「毎年新鮮な気持ちで迎えてきたが、コロナには勝てない」と残念がる。収束の期待を込め、「来年は2年分の雄たけびを上げたい」と話した。(2020/12/07-13:33)
Coronavirus Crisis Puts Namahage Folk Ritual at Risk
The traditional Namahage divine visit ritual in Oga, Akita Prefecture in northeastern Japan, is under threat as citizens are split over whether the annual event should be held amid the novel coronavirus epidemic.
Seven districts in the city have decided to hold it this year, while six have decided to suspend it and 80 are still considering options.
The city government is calling on its districts to host the Namahage event in order to preserve tradition, distributing documents on infection prevention measures in mid-November to districts aiming to hold it.
"Once it stops, it will be hard to resume," Mayor Koji Sugawara said at a press conference.
In the ritual, people dressed as ogres visit homes in the region on New Year's Eve, telling children to behave by shouting, "Are there any crying kids?" in the local dialect. The ogres are said to represent the gods of the mountains who admonish people and ward off calamity, and locals offer them food and alcohol.
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