2024.07.17 07:27Nation

13年の「恩返し」誓う 福島帰還のサッカーエリート―大震災で静岡移転・パリ五輪

 パリ五輪サッカー日本代表には、今春、13年ぶりに福島県での活動を全面再開した「JFAアカデミー福島」出身選手が、バックアップメンバーを含め8人選ばれた。東日本大震災で拠点を移していた静岡県での練習を支えた「時之栖」(同県御殿場市)社長の庄司政史さん(59)は「巣立った選手が出場するのはうれしい」とほほ笑む。
 JFAアカデミー福島は中高生を対象にした日本サッカー協会のエリート選手養成機関。2006年に開校し、福島県の施設「Jヴィレッジ」を拠点に、U17ワールドカップなどに出場する若手を育てていたが、11年3月11日、大震災に見舞われ、移転を余儀なくされた。
 時之栖に協会からアカデミー生125人の受け入れの打診があったのは、大地震の約1週間後。総合レジャー施設を運営する同社はサッカー場を複数所有し、日本代表も合宿先として利用するなど、協会と交流があった。
 「受け入れよう」。庄司さんによると、当時の社長は、他人の苦しみや困難を見て、自然と心が痛む感情を指す言葉「惻隠(そくいん)の情」を口にし、即決した。
 当時専務だった庄司さんは地元自治体や協会などと調整を重ね、衣食住の確保や学校の編入手続きなどをフォロー。アカデミー生は同年3月末に静岡県に移ってきたが、中学の入学式には、学校OBが制服やかばんを用立てて間に合わせたという。「安心して住んでもらいたい一心だった」と庄司さんは振り返る。
 時之栖の施設は主に、男子寮や練習場所として使用された。アカデミー入校式や卒校式の会場にもなり、受け入れから約13年間で二百数十人のアカデミー生が青春を過ごした。
 パリ五輪に出場するなでしこジャパンの北川ひかる選手(27)はアカデミー5期生で、時之栖のグラウンドで練習した一人。静岡県で成人式に出席したといい、「お世話になった場所。(パリでは)恩返しできるようなプレーをしたい」と意気込む。
 庄司さんは「アカデミーが福島に戻ったことには、正直寂しさもある。だが、ここにいた選手はわれわれにとって仲間。パリでも活躍してほしい」とエールを送った。(2024/07/17-07:27)

2024.07.17 07:27Nation

Soccer Players from Fukushima Academy Vow to Give Back in Paris


Soccer players from a youth training academy in Fukushima Prefecture are determined to give back at this summer's Paris Olympics in gratitude for the support they received at the time of the March 2011 disaster.
   Eight players who trained at JFA Academy Fukushima have been selected for the men's and women's squads representing Japan in the 2024 Summer Olympics, including as backups.
   This spring, the academy resumed operations in Fukushima full scale for the first time since the massive earthquake and tsunami struck northeastern Japan including Fukushima, triggering a nuclear accident in the prefecture.
   JFA Academy Fukushima, which opened in 2006, is an elite soccer player development institution run by the Japan Football Association for junior and senior high school students.
   Based in the J-Village national sports training center in Fukushima, the academy nurtured young players participating in competitions such as the FIFA U-17 World Cup.

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