2024.01.22 07:04Nation

輪島塗工房「必ず伝統継承」 寄付と声援、復興へ力―能登地震で壊滅的被害

 能登半島地震で、国の重要無形文化財に指定されている石川県輪島市の伝統工芸「輪島塗」の工房も大きな被害を受けた。工房の一つが復興に向けインターネット上で寄付を募るクラウドファンディングを始めたところ、全国から賛同者が相次ぎ「輪島塗が続きますように」などと声援も寄せられている。当主の男性は「必ず伝統を継承してみせる」と復興への力を得ている。
 「輪島の産業が再開するときに動きだしたのでは遅い」。江戸時代後期の文政元年(1818年)創業の「田谷漆器店」10代目当主、田谷昴大さん(32)は被災後間もなく支援を呼び掛けた意義をこう語る。
 市内にある工房では受注品や文化財の修復も手掛け、海外への販路も開拓していたが、地震で建物は倒壊。中心部の朝市に2月オープン予定だったギャラリーも目の前で焼失した。損失は漆器だけで約4億円と見込む。
 職人や従業員約20人は無事だったが、漆を塗る筆などの仕事道具も大半が失われた。生活の立て直しすら見通せない中だったが、工房再建に向けて13日に募集を始めた。
 当初は「この時期に始めていいものか不安だった」と明かす。返礼品は輪島塗の箸やぐいのみ、どんぶりなどで「再建の状況次第で遅れる場合もある」。それでも支援が相次ぎ、3日間で最初の目標とした1000万円に到達。「心から応援している」「輪島塗が続きますように」とのメッセージは650件を超え、田谷さんは「こんなに支援してくれる人がいるとは。職人が元気を与えてもらった」と語る。
 ただ、再建への道は険しい。輪島塗は1点の器に何人もの職人が手を加えるのが特徴で、細かな作業を含めると124もの工程を経る。同店以外の職人と連携して制作することも多く、業界全体の復興は欠かせないという。
 「能登の人は頑固で諦めが悪い人もたくさんいます。必ず日本の素晴らしい漆器文化を継承し、世界に伝えていきます」。多くの声援を受けてこう意気込む田谷さん、来月中にも仮工房を立ち上げようと奔走している。(2024/01/22-07:04)

2024.01.22 07:04Nation

"Wajima-nuri" Shop Resolved to Protect Craft after Quake


A "Wajima-nuri" lacquerware shop is resolved to protect the traditional local craft, overcoming the damage it sustained from the Jan. 1 Noto Peninsula earthquake in central Japan.
   The temblor damaged many Wajima-nuri workshops in Wajima, one of the hardest-hit municipalities in Ishikawa Prefecture. Among them was the Taya Shikkiten shop.
   When the shop started an online crowdfunding campaign to raise funds for reconstruction, donations came quickly from all over the country, along with many encouraging messages.
   "We will definitely carry on the tradition," said Takahiro Taya, 32, the 10th-generation representative of Taya Shikkiten, founded in 1818 during the Edo period.
   "It would be too late to start moving when the industry in Wajima reopens," Taya said, explaining why he acted quickly to begin the crowdfunding campaign.

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