訪日客単価の向上を　人手不足に懸念―政府観光局理事長

　日本政府観光局の清野智理事長はインタビューに応じ、コロナ禍で冷え込んだインバウンド（訪日客）需要の回復について「今のところ順調だ」と手応えを語った。一方、先行きについては、旅館などの人手不足の影響を懸念。観光部門の活性化に向けて、旅客単価向上の必要性を訴えた。
　訪日外国人数は、昨秋の水際対策緩和を受けて大幅に増加しており、清野氏は「やはり日本の人気は高い」と歓迎する。ただ、地方を中心にコロナ禍で離職者が増えた旅館やホテル、空港の地上業務などの人手が不足。「受け入れ余力がなくなれば、足踏み状態になるかもしれない」との見方も示した。
　政府は訪日客の年間消費額について、過去最大だった２０１９年の約４．８兆円を上回る「５兆円超」の速やかな達成を掲げる。清野氏は「どうやって単価の高いお客さんに来ていただくか」が重要だと強調。自然環境や文化保全に配慮したサステナブルツーリズムや体験型のアドベンチャーツーリズムなど欧米人に人気で単価の高い旅行の普及や、富裕層向け高付加価値旅行の充実が求められると述べた。
　また、「働く人にも、ちゃんとしたお金を払うことが必要だ」と説明。旅客単価の向上を、従業員らの待遇改善につなげるべきだと主張した。
　インバウンドの本格拡大やオーバーツーリズム（観光公害）回避には「東京から京都、大阪にかけたゴールデンルート以外のエリアもアピールしなければならない」と語る。その上で、誘客には「成田、羽田、関西の３空港だけでは限度がある」とし、海外都市と地方空港を結ぶ直行便の増便を望んだ。（2023/02/16-07:06）

The Japan National Tourism Organization hopes for an increase in per capita spending by foreign travelers for the revitalization of the country's tourism industry, JNTO President Satoshi Seino has said.
   Inbound tourism demand is recovering "steadily at the moment" after a drop caused by the novel coronavirus pandemic, Seino said in a recent interview.
   Meanwhile, he voiced concerns about personnel shortages in the industry, including at "ryokan" Japanese-style inns.
   Seino welcomed a surge in the number of visitors to Japan following a drastic relaxation of COVID-19 border control measures last autumn, saying, "Japan is popular after all."
   At the same time, he said that the growth "may stop" due to a lack of ryokan and hotel workers, especially in rural areas, airport ground staff and other travel-related personnel.