巨艦イージス建造へ　陸上配備代替、ミサイル防衛―「令和の戦艦大和」の声も・防衛省

　秋田、山口両県への陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画撤回から２年余りを経て、代替策となる２隻の「イージス・システム搭載艦」の建造計画が３１日、防衛省の２０２３年度予算概算要求で明らかになった。
　ミサイル防衛だけでなく、政府が保有を検討する反撃能力（敵基地攻撃能力）に転用できる長距離ミサイルも搭載。船体の大きさは海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」型（１万９９５０トン）に匹敵し、自衛隊関係者からは「令和版戦艦大和」の声も漏れる。
　細部が確定しない事項要求のため金額は明示されないが、建造費は最新鋭イージス艦「まや」型を上回り、導入コストはアショアの約４０００億円（試算）を超える可能性がある。厳しい財政事情の中で、費用対効果があるのか説明責任が問われる。
　防衛省は設計費やエンジン取得費を要求。構想では基準排水量は約２万トンでいずも型とほぼ同じで、まや型の２倍以上ある。全長２１０メートル、幅４０メートル程度を検討している。
　同省は「船体の大型化で揺れを低減し、極超音速兵器への対処やレーザー兵器の機能を追加できる拡張性を備える利点がある」としている。同省関係者によると、アショアで配備する予定だった米ロッキード・マーティン社製の大型レーダー「ＳＰＹ７」を転用するが、既存のイージス艦レーダーより重く、重心のバランスを取る必要があるため、船体が巨大化する。
　弾道ミサイル対処の迎撃ミサイル「ＳＭ３ブロック２Ａ」や巡航ミサイルを撃ち落とすＳＭ６を搭載。射程が延伸化され、政府が検討する反撃能力に転用可能な１２式地対艦誘導弾（ミサイル）も装備する計画。
　乗組員は省人化を図り１１０人。従来のイージス艦の３分の１程度で、全員個室にする。２７年度末に１隻目、２隻目を２８年度末に就役させる計画。ただ、大型艦は接岸できる港湾施設が制限される上、ミサイル防衛に集中するため、海自の主任務である対潜水艦戦能力も限定的になる見込み。
　自衛隊関係者は「性能を特化すると戦時中、巨費を投じたものの完成時に『大艦巨砲主義』が時代遅れになった戦艦大和のようになりかねない」と指摘した。（2022/09/01-07:56）

Japan's Defense Ministry plans to build two new vessels equipped with the Aegis missile defense system, its budget request for fiscal 2023 has shown.
   The plan comes after the ministry scrapped efforts to set up the Aegis Ashore land-based missile defense system in the northeastern prefecture of Akita and the western prefecture of Yamaguchi over two years ago due to a flaw in safety measures.
   The vessels are expected to also be equipped with long-range missiles that can be used for counterstrikes, the capability that the Japanese government is considering acquiring.
   The size of the Aegis system-equipped vessels is seen to be close to that of the Maritime Self-Defense Force's 19,950-ton Izumo-class destroyers, which are the largest of the MSDF's fleet of destroyers.
   Some Self-Defense Forces officials label the vessels as the Reiwa era version of the now-defunct Imperial Japanese Navy's battleship Yamato during World War II. The Reiwa era started in May 2019 with Emperor Naruhito's ascent to the throne.