岸田首相、参院選へ緩み警戒 自公協力に不安も―原油高・コロナ、課題山積
政府・与党が6月22日と想定する参院選公示(投開票は7月10日)まで、14日で残り100日となった。足の引っ張り合いが目立つ野党は選挙協力でも調整が進まず、自民党内の危機感は薄い。ただ、複数の県知事選で保守分裂選挙となったり、自公間の隙間風を指摘されたりするなど不安も抱える。岸田文雄首相は引き締めを図るが、原油価格の高騰や新型コロナウイルス対応など課題が山積している。
◇楽観ムード
「気を緩めることなく、一致団結して参院選を勝ち抜こう」。首相は東京都内のホテルで13日に開かれた自民党定期大会での総裁演説で、こう訴えた。政府・与党内から「大敗はない」(高官)、「絶対勝てる」(自民党幹部)との声が漏れており、「楽観ムード」を戒めたとみられる。
危機感が薄い背景には、野党の現状がある。野党は過去2回の参院選で「1人区」の候補を一本化し、一定の成果を上げた。だが、今回は共闘の軸となる立憲民主、共産両党がいまだ合意していない。国民民主党は「与党シフト」を鮮明にし、立民、国民民主両党を支援する連合は股裂きとなりかねない情勢だ。
2022年度予算案審議でも政権追及に徹し切れず、例年より早い18日か22日に成立する見通し。後半国会で野党の見せ場は、経済安全保障推進法案の審議などに限られそうだ。
◇保守分裂のしこり
とはいえ、不安要素もある。13日に投開票された石川県知事選は自民党本部が実質支援した候補が制したが、保守系が3分裂したため約8000票の僅差。昨年以降、岐阜や兵庫、長崎の各県知事選でも分裂選挙が続いており、地方組織内で感情的なしこりが残るのを懸念する声がある。
参院選は知事選と選挙区が重なり、石川、岐阜、長崎は全体の勝敗を左右する1人区。石川では来月、参院選挙区補欠選挙も控える。「これからが大変だ」。派閥領袖(りょうしゅう)の一人は結束へ不安を隠さなかった。
公明党との「相互推薦」の成否も不透明だ。公明党は昨年中に返事がなかったとして、1月に地方組織へ相互推薦見送りを伝達。自民、国民民主両党接近の動きもあって今月11日に急きょ決着したが、自民党が五つの「複数区」で公明候補を推薦する方針を打ち出したのに対し、公明による自民候補推薦は地方組織との協議を踏まえ順次推薦する形となった。
自民党とのパイプが細る公明党は不満を募らす。激戦が予想される兵庫選挙区で自民の全面協力が得られるか疑念は消えない。自民党長老から石川県知事選の支援に謝意を伝えられた公明党の支持母体・創価学会の幹部は「兵庫をよろしくお願いします」と「見返り」を要求した。
14日の自民党役員会。首相は「政治の安定を実現できるのは自公政権しかない」と居並ぶ幹部に呼び掛けた。
◇「第7波」警戒
原材料価格の高騰とコロナ対応も課題だ。首相はガソリンに関する補助金拡大を表明したが、食料品などの価格も上昇している。与党内から追加の経済対策を求める声が出ているのは、それだけ生活に影響が大きいためだ。特にガソリンは1人区での戦いに響きかねない。
「第6波」で急増した感染はここ数日、減少傾向だが、コロナ禍の終息は依然見えない。自民党関係者は「ガソリンはさらに上がる。『第7波』襲来が参院選を直撃すれば、雰囲気ががらっと変わる」と警戒した。
◇主な政治日程
3月16日 自民、公明、国民民主3党が幹事長会談
春闘集中回答日
19日 岸田文雄首相がインド、カンボジア訪問へ出発(21日まで、調整中)
21日 18都道府県に適用中のまん延防止等重点措置の期限
後半 2022年度予算案成立
4月24日 参院石川選挙区補欠選挙投開票
5月15日 沖縄本土復帰50年
6月15日 通常国会会期末
22日 参院選公示(予定)
26日 G7サミット(独エルマウ、28日まで)
7月10日 参院選投開票(見通し)
9月29日 沖縄県知事任期満了(2022/03/14-20:02)
FOCUS: Kishida Worried LDP Too Relaxed ahead of Upper House Election
With less than 100 days to go before the envisaged launch of campaigns for the House of Councillors election this summer, Prime Minister Fumio Kishida feels uneasy about an excessively optimistic mood spreading among members of his Liberal Democratic Party.
In his speech at an LDP convention held at a Tokyo hotel on Sunday, Kishida said, "Let's get united to win the Upper House election, without letting our guard down."
The LDP chief apparently gave party members warning against becoming too optimistic about the LDP-led ruling coalition's victory in the election for the upper chamber of the Diet, the country's parliament, for which the official campaign period is expected to start on June 22 for voting on July 10.
A senior government official noted the ruling camp is "unlikely to suffer a major defeat," while a senior LDP member stressed, "We will definitely win."
Their confidence in a victory reflects tardy progress in talks on electoral cooperation among opposition parties.
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