強制不妊、国に賠償命令 原告逆転勝訴、除斥期間適用せず―大阪に続き2件目・東京高裁
旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして、東京都内の男性(78)が国に3000万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が11日、東京高裁であった。平田豊裁判長は旧法を違憲と判断し、請求を棄却した一審東京地裁判決を変更、1500万円の支払いを命じた。
強制不妊をめぐる訴訟で国の賠償責任を認める判断は2月の大阪高裁に続き2件目。いずれも被害発生から20年が経過すると損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用しなかった。判決で被害者救済制度の見直しを求める声が高まりそうだ。
平田裁判長は、旧優生保護法について「差別的思想に基づくもので、憲法に違反することは明らかだ」と人権侵害に当たると認定。旧厚生省が手術を積極的に実施させたとし、国が賠償責任を負うと判断した。
その上で、被害者の多くは特定の病気や障害を理由に手術対象となる差別を受け、生殖機能も回復不可能な状態にさせられるなど「二重、三重にも及ぶ精神的・肉体的苦痛を与えられた」と指摘。国の施策で偏見・差別が社会に浸透したとし、除斥期間を理由に被害者の賠償請求権を消滅させるのは「著しく正義・公平の理念に反する」と結論付けた。
また、国会で2019年に成立した救済法は、一時金の請求権を施行日から5年と定めている点に言及。提訴も施行日から5年の猶予期間が与えられるべきだとし、その間は損害賠償請求の権利が消滅しないとの考えを示した。
平田裁判長は判決言い渡し後、異例の「所感」を読み上げた。男性に「差別されることなく、これからも幸せに過ごしてもらいたいと願います」と語り掛けた上で、「差別のない社会をつくっていくのは、国はもちろん、社会全体の責任。そのためにも、国の責任を不問に付すのは相当ではないと考えた」と話した。
訴状などによると、男性は1957年ごろ、宮城県内の県立病院で旧優生保護法に基づく不妊手術を強制された。一審東京地裁は20年6月、憲法判断はせずに除斥期間を適用して請求を棄却した。
◇「判決内容精査し対応」=厚労省
厚生労働省の話 国の主張が認められなかったと認識している。判決内容を精査し、関係省庁と協議した上で適切に対応する。(2022/03/11-18:05)
Japan Govt Ordered to Pay Damages over Forced Sterilization
Tokyo High Court overturned a lower court ruling Friday, ordering the Japanese government to pay 15 million yen in damages over forced sterilization under the now-defunct eugenic protection law.
The 78-year-old man from Tokyo who filed the suit had demanded the government pay 30 million yen in damages.
The verdict is the second ruling by a Japanese court acknowledging state responsibility to pay compensation over forced sterilization, after Osaka High Court handed down a similar ruling last month.
The man underwent forced sterilization at a hospital in Miyagi Prefecture around 1957 based on the now-defunct eugenic protection law, according to the complaint and other sources.
In May 2018, he filed a lawsuit with Tokyo District Court. The focus of the suit was whether the 20-year statute of limitations on compensation claims applied.
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