2022.03.07 18:44Nation

「何年でも待つ人いる」 独学で「復顔法」、震災で活用―宮城県警OBの安倍さん

 法医学データに基づき、頭蓋骨や遺体写真などから生前の顔を再現する「復顔法」。似顔絵に応用する技術の講習会が、宮城県警で東日本大震災後、毎年行われている。講師を務める鑑識課OBの安倍秀一さん(72)は「何年たっても待つ人はいる。やるべきことは同じだ」と語る。
 安倍さんは1968年、同県警に入り、主に本部の鑑識課などで勤務した。震災当時、安倍さんが描いた身元不明者の似顔絵94枚のうち、これまでに24人の身元が判明しており、「似顔絵の神様」と呼ばれることもある。
 きっかけは、約40年前に仙台市の渓谷に架かる八木山橋で、若い男性が約100メートル下に転落した事案だった。遺体は顔面の損傷が激しく、遺族は当初、「うちの子ではない」と引き取りを拒否。しかし、安倍さんの似顔絵を見て、息子だと納得してくれたという。
 遺体の返還だけでなく、事件性の有無を判断する上で、身元特定は警察の責務。似顔絵技術の向上のため、安倍さんは「何とか復顔法を身に付けたいと思った」と当時を振り返る。
 目や唇の位置、顔の組織の厚さなどの医学的データを参考に顔立ちをよみがえらせる。安倍さんは鑑識課時代の経験から、遺体の死後変化や発見場所の情報なども活用した。
 震災の混乱の中では、遺体の顔写真が正確に撮られなかったことも少なくない。しかし、専門書などを読み、独学で習得した復顔法の似顔絵は、限られた情報の中でも、身元不明者の生前の表情を正確に捉えていた。
 似顔絵の作成は深夜2時まで及んだことも。翌日には資料から違った見方ができるようになり、何度も何度も修正して1枚の似顔絵を完成させた。
 安倍さんは現在、技術を若手警察官に伝える「鑑識技能伝承官」として後進の育成に力を入れている。「呼んでもらえる限りは続けたい」と、今年も講師を引き受けた。「いつ何があっても必ず描ける人がいるようにしたい」。(2022/03/07-18:44)

2022.03.07 18:44Nation

11 Years On: Ex-Police Officer Teaches Facial Reconstruction for Unidentified


A workshop has been held every year at Miyagi prefectural police in northeastern Japan since the March 2011 earthquake and tsunami to learn how to draw portraits of unidentified victims using forensic facial reconstruction methods.
   "Some people wait for years. What we do will remain the same," said Shuichi Abe, a 72-year-old former officer at the Miyagi police's crime laboratory, who teaches at the annual workshop methods for recreating the faces of bodies from their skulls or corpse photographs based on forensic data.
   Abe entered the Miyagi police in 1968 and worked mainly at the headquarters crime laboratory.
   From 94 portraits of unidentified victims of the March 2011 disaster, drawn by Abe at the time, 24 bodies have so far been identified.
   Abe, who is now known as a "portrait master," began his career with a case in which a young man died after falling some 100 meters from a bridge in the Miyagi city of Sendai around 40 years ago.

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