菅前首相、月内にも勉強会　再始動、勢力結集の狙いか

　自民党の菅義偉前首相が月内にも、自身に近い党所属の無派閥議員約３０人を中心に勉強会を立ち上げる。首相退任後、一時は目立った動きを見せていなかったが再始動する。昨年の党総裁選で、岸田文雄首相から事実上の出馬断念に追い込まれた菅氏による「勢力結集」の動きは党内に波紋を広げそうだ。
　菅氏は周囲に「２０２２年度予算案の成立後に勉強会を立ち上げたい」と明かした。当面は派閥・グループ化はせず、緩やかな政策集団として活動を始めるとみられる。
　勉強会ではまず、政権担当時に掲げた、２０５０年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」実現に向けた方策を話し合う。不妊治療の支援策なども扱う予定だ。
　菅氏は首相在任時、新型コロナウイルス対応に全力を挙げたが厳しい「後手」批判を浴びた。首相の座を降りた後もしばらくは意気消沈。ただ、昨年の衆院選で各地を応援で訪れた際、意外にも自身のコロナ対応を評価する声が多く聞かれたことで気力を取り戻したとされる。
　現在の菅氏は党内で、岸田氏と反目する「非主流派」と位置付けられる。その菅氏がこのタイミングで勉強会をスタートさせるのは、今後の政局をにらんだ動きと受け止められている。周辺は「夏の参院選で岸田政権が揺らいだときに代わり得る勢力として備えておく」と語る。
　参院選で自民党が勝利し、首相が長期政権の足場を築いたとしても、一つの固まりを形成しておけば、一定の存在感をアピールできるとの狙いもありそうだ。
　勢力結集をうかがわせる動きは既に出ている。菅政権で党総務会長を務めた佐藤勉氏が２月２５日に麻生派を退会。党内には「菅グループ」結成の布石との見方もある。勉強会には、菅政権を中心で支えた二階、森山両派議員も参加するとみられ、菅氏が非主流派の核になる可能性もある。
　一方、岸田政権を支える安倍晋三元首相も、かねて菅氏に無派閥議員を束ねた「派閥化」を提案してきた。安倍氏にとっても、かつて官房長官として自身を支えた「女房役」のグループ結成は、自身の現政権への影響力を強める材料になり得る。
　菅氏をめぐる思惑が党内で交錯する中、政権内には警戒感が広がる。閣僚の１人は「菅氏と一緒にやることが果たして得なのか」と苦々しげに語った。（2022/03/07-07:07）

Former Japanese Prime Minister Yoshihide Suga of the ruling Liberal Democratic Party is ready to resume political activities in earnest after keeping quiet following his resignation in October last year.
   "He is preparing to be a force to replace (Prime Minister Fumio) Kishida if his administration is shaken in this summer's election for the House of Councillors," a source close to Suga said.
   Suga plans to create a study group by the end of this month mainly with some 30 LDP lawmakers who are close to him and do not belong to any party factions.
   His move to gather like-minded members is likely to cause a ripple within the party, where Suga was effectively forced by Kishida to give up his candidacy in the LDP presidential election in September last year.
   "I want to launch a study group after the government's fiscal 2022 budget is enacted," Suga was quoted as telling those close to him.