試練越え、再び舞台に 「希望与える」思い後押し 競泳・池江選手〔五輪・競泳〕
病気を乗り越え、一度はあきらめた五輪の舞台へ帰ってきた。競泳女子400メートルリレーに出場した池江璃花子選手(21)=ルネサンス=。治療のあまりのつらさに弱音を吐き、競技復帰への不安も感じた。「病気の人に希望を」。背中を押したのは、苦しみを知ってこそ分かる共感だった。
2018年夏のアジア大会で6冠を達成、飛ぶ鳥を落とす勢いだった池江選手が体調の異変に気付いたのは19年2月。急性リンパ性白血病による入院生活が始まった。
かつて指導した東京ドルフィンクラブのコーチ、清水桂さん(46)は入院直後、見舞いに訪れた。「ショックすぎる」と言いながらも「治療するしかないので」と吹っ切れたように話す姿は、「練習で文句は言っても、弱音は吐かない」(清水さん)いつもの池江選手だった。
しかし、18歳には苛酷な試練だった。抗がん剤治療による吐き気で毎日何度も戻す日々。病床から「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどい」とSNSに記した。看病する母には「死にたい」とこぼし、体重は15キロ以上落ちた。
発病前の自身の競技映像を見て、「この人すごい」と人ごとに感じることも。元のように泳げるか不安はあったが、「水泳があって自分ができている」という思いは消えなかった。「早くプールに入りたい」。退院後に再会した元チームメート、古瀬佳奈さん(23)にそう語った。
再び泳ぐことで「病気の人に強くなれると知ってもらいたい」という気持ちも大きかった。「がりがりになった姿や髪の毛がない姿は、病気になった人が多く経験している」からと、ウィッグを外した写真も公表した。「戻ってこられるという希望を与えたかった」
明るく、負けず嫌いな性格は今も変わらない。だが古瀬さんにはある時、「弱音を吐かないと無理だよね。周りに助けてもらうのも大事だと知った」と話したという。古瀬さんは、池江選手の弱さとの向き合い方に変化を感じている。
「入院していた時よりきついことはない。メンタルは強くなってる」。プールに戻った池江選手はそう話した。(2021/07/24-23:59)
Swimmer Ikee Returns to Olympics, Resolved to Give People Hope
Japanese swimming star and leukemia survivor Rikako Ikee returned to the Olympics on Saturday with a wish to give hope to people suffering from diseases.
During her battle with leukemia, painful treatments discouraged her and she became anxious about whether she would be able to return to competition.
But her determination to encourage people battling diseases through swimming propelled her efforts to come back to the Olympics.
Ikee, a second-time Olympian, competed in the women's 400-meter relay at the Tokyo Olympics on Saturday.
Her team ended ninth, failing to reach the final. But she sounded satisfied that she came back to the Olympics.
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