除染土、見通せない最終処分 中間貯蔵施設へ搬入大詰め―福島・東日本大震災10年
東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県内の除染作業で出た土壌などの中間貯蔵施設(同県大熊町、双葉町)への搬入が、2021年度に帰還困難区域を除いて完了する見込みとなった。一方、45年3月までの県外最終処分については、今なお道筋が示されていない。
福島第1原発を取り囲む約1600ヘクタールの敷地に整備が進む中間貯蔵施設。東京ドーム11個分に及ぶ約1400万立方メートルの廃棄物を運び込むため、1日当たり延べ約2400台の大型トラックが仮置き場との間を行き交う。これまでに総量の約75%に当たる1048万立方メートルを搬入した。
運び込まれた廃棄物は「受け入れ・分別施設」でふるい機にかけ、土壌から草木などを選別。その後、土壌はベルトコンベヤーで「土壌貯蔵施設」に運び、放射性セシウム濃度に応じて保管する。
中間貯蔵施設はあくまで一時的な保管場所で、法律で「貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分する」と定められている。環境省は最終処分量を減らすため、除染土を公共工事などに再利用する計画だが、住民の反発もあり思うように進んでいない。
先行きを不安視する県民も少なくない。大熊町の女性(80)は「県外の人からすれば、なぜ福島の除染土を引き受けなければならないのかと感じるだろう」と話し、除染土の搬出先が決まらず、このまま最終処分場にされるとの見方を強める。
環境省が20年10月に行ったウェブアンケートでは、除染廃棄物の県外最終処分に関して「聞いたことがない」「聞いたことはあるが、内容は全く知らない」と答えた人が、県外では計81%に上った。環境省は国民的な理解を広げるため、21年度に全国で一般市民との「対話集会」を開く方針だ。
福島県の内堀雅雄知事は2月中旬、小泉進次郎環境相とのオンライン会談で、中間貯蔵施設について「国からの要請を受け、大熊町と双葉町が苦渋の決断で受け入れた」と過去の経緯を強調。「国の責務として、県外最終処分を約束通り実施してほしい」とくぎを刺した。(2021/03/09-13:31)
10 Years On: Long Road Ahead for Tainted Soil Disposal
A long road remains ahead for the final disposal of soil and other debris tainted in the March 2011 nuclear accident in Japan, despite progress being made in its temporary storage.
The transfer of the waste to an interim storage site is expected to be completed in the fiscal year starting next month.
The soil and other radioactive waste, collected during decontamination work in Fukushima Prefecture, excluding those from "difficult-to-return" zones, are being placed in the site, which straddles the towns of Futaba and Okuma in the northeastern Japan prefecture. The towns host Tokyo Electric Power Company Holdings Inc.'s disaster-stricken Fukushima No. 1 nuclear power plant.
Meanwhile, the Japanese government has yet to present a road map for the final disposal of the waste at a facility outside the prefecture by March 2045.
The roughly 1,600-hectare interim storage site surrounds the Fukushima No. 1 plant and is slated to hold about 14 million cubic meters of debris. About 10.48 million cubic meters, or around 75 pct of the total, has already been transported to the site.
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