2021.11.02
スポーツ
【冬季五輪】「銀盤の記憶」男子フィギュアスケート (21/30)
2002年 ソルトレークシティー冬季五輪 アレクセイ・ヤグディン(ロシア) ヤグディンの端正な顔が、感激でみるみるゆがんでいく。5位に終わった長野大会から、夢に見てきた五輪の金メダル。演技を終えて、夢の実現を確信すると氷に口づけして喜びを表した。「何が起こったのか思い出せない。夢のようだった」 出だしの4回転―3回転―3回転の連続ジャンプを4回転―3回転―2回転にするなど、手堅さも目立ったが、難易度は高かった。そして、際立つ優雅さ。表現点では、男子では五輪史上最多の4人の審判が6点満点を出し、9人の審判全員から1位に支持された。「この1週間は苦しかった。自分がここまでやってきたことを誇りに思う」と充実感に浸った。 長野五輪のシーズンから世界選手権で3連覇。しかし、昨年はその座を2歳年下のプルシェンコに奪われた。もともと二人は同じコーチに教えられた同門だったが、ヤグディンは長野後、米国に移住した。そこで師事したタラソワ・コーチがヤグディンを変えたという。「コーチのおかげでジャンプを飛ぶだけでなく、氷上の芸術家になれた」 4年後のトリノ五輪に話が及ぶと、「それは難しい質問だ。コーチと相談しなくては」と明言を避けたが、力強さと芸術性を兼ね備えた21歳が、世界をリードしていくのは間違いない。(写真は時事通信社)(2002年02月14日)