「新興国の雄」つなぎ留め=政府、中ロにらみ厚遇―日・ブラジル首脳会談
石破茂首相は26日、ブラジルのルラ大統領との会談で、首脳相互訪問の定例化など、2国間関係の強化に注力した。米国のトランプ政権が自国第一主義を掲げる中、中国やロシアが接近を図るグローバルサウス(新興・途上国)の「雄」をつなぎ留めるのが狙いだ。
「国際社会が対立と分断を深める中、国際社会を協調へ導くパートナーとしてブラジルとの協力は不可欠だ」。首相は会談後の共同記者発表でこう強調。ルラ氏は「持続可能性、平和、民主主義が地球の未来にとって不可欠だ」と応じた。
ルラ氏の来日は、昨年5月にブラジルを訪問した岸田文雄首相(当時)が要請。日本側は今回、6年ぶりの国賓として厚遇した。25日の天皇、皇后両陛下主催の宮中晩さん会は、ブラジル側の要望を受け、タキシードなどの正装ではなく「平服」がドレスコードとなった。
両政府がまとめた今後5年間のアクションプラン(行動計画)は、アマゾン川流域の違法伐採対策や農地再生など環境分野の協力をアピール。洪水や干ばつが深刻化するブラジルは今年、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の議長国で、ルラ氏も重視するテーマだ。
貿易・投資の促進など「実利」にも力点を置いた。両首脳は会談に先立ち、東京都内で開かれた両国の経済団体主催の会合に出席。石破首相はあいさつで「ブラジルは長きにわたる人々の交流と、強固な経済関係で結ばれた掛け替えのない友人だ」と呼び掛け、ルラ氏と抱擁を交わした。
ただ、ブラジルは「全方位外交」(外務省関係者)が基本姿勢だ。最大の貿易相手国は中国。中ロ主導の新興国枠組み「BRICS」のメンバーで、ブラジルは今年、議長国も務める。ルラ氏は記者発表で「BRICS首脳会議では多国間主義の擁護が中心テーマとなる」と語った。
ルラ氏は、パナマ運河の「支配計画」などトランプ政権の中南米政策を問題視している。先進7カ国(G7)と一線を画すブラジルをどう引き寄せるか。日本は引き続き「橋渡し役」を目指すが、成果を得られるかは見通せない。
[時事通信社]
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