トルコ、混乱長期化の様相=大統領の政敵拘束、反発やまず
【イスタンブール時事】トルコでエルドアン大統領の「最大の政敵」で、最大都市イスタンブールのイマモール市長の拘束を機に、政治の混乱が長期化する様相を見せている。26日で拘束から1週間となる中、支持者らは連日の抗議デモで治安当局と衝突。エルドアン氏は「街頭テロ」と対決姿勢を示しており、強権体質に拍車が掛かる可能性もある。
イスタンブールの市庁舎前では、汚職容疑でイマモール氏が身柄を拘束された19日以降、市民が多数参集。拘束に対して「政治的迫害」「民主主義の後退」と批判を強めている。イェルリカヤ内相によれば、19~25日の間にデモ隊1410人超が拘束された。
イスタンブール市長として2期目のイマモール氏は世俗的な人が多く暮らす都市部で特に人気が高い。23日には、世俗派の最大野党・共和人民党(CHP)の予備選で、2028年に予定される大統領選候補に選ばれた。ただ、拘束前日に、立候補に必要な大学卒業資格を母校のイスタンブール大から剥奪され、出馬が認められない恐れが出ている。
トルコではエルドアン氏率いるイスラム系与党・公正発展党(AKP)の20年以上の長期政権が続く。国是である世俗主義を維持しながらも、エルドアン氏はイスラム色の濃い政策を推進。憲法改正で大統領の権限を拡大し、自らに権力を集中させた。国際社会でトルコの存在感を高める一方、専横的な政治手法は世俗派などから反発を招いている。
エルドアン氏は17年に改正された憲法下で現在2期目。憲法の規定で3選出馬は禁止されているが、2期目中に議会が前倒し選挙を決めれば立候補が認められる。事実上の信任投票となった24年の統一地方選では、AKPがCHPに敗北。強権化や物価高騰への不満からエルドアン氏の求心力には陰りも見え、野党は早期選挙を訴えている。
英紙フィナンシャル・タイムズは、イマモール氏の突然の拘束について「強力な証拠が示されない限り、大統領がさらに権威主義的な道を歩んでいくとの危惧を強めさせる」と指摘した。政治の混迷で通貨や株価が急落し、経済に悪影響が出始めている。
[時事通信社]
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