ハマス幹部標的の攻撃続く=巻き添え拡大、絶望の声―ガザ

【エルサレム時事】イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦で、イスラム組織ハマスの政治部門の幹部が相次ぎ殺害されている。停戦合意をほごにする形で大規模空爆を18日に再開した後、イスラエル軍はハマス幹部を狙って攻勢を強化。巻き添えによる民間人の犠牲者も増加しており、ガザ住民からは終わりの見えない戦火への絶望の声が聞かれた。
イスラエル軍が22日から23日にかけてガザ南部マワシ地区で行った空爆で、ハマスのバルダウィル幹部が死亡した。イスラエル軍は、同幹部が「(ハマスの)戦略的、軍事的な計画立案に関与していた」と指摘し、「死亡によりハマスの軍事能力はさらに低下した」と強調した。
マワシ地区には、2023年10月以降のイスラエル軍のガザ各地への攻撃で家を失った避難民が集まっている。避難民のアブーアフマドさん(36)は「どこに行けばいいのか。絶え間ない死の恐怖に疲れ果て、いっそ死んだらいいのかと考えた」と胸の内を語った。
一方、同軍は23日、南部ハンユニスの病院を攻撃し、ハマス政治部門のバルフーム幹部が死亡した。同軍は「正確な攻撃」を行ったと主張したが、地元保健当局によると、16歳の少年が死亡したほか多数の負傷者が出た。
AFP通信は23日、大規模空爆の再開後、ハマスの4人の政治局メンバーが殺害されたと報じた。ロイター通信によると、政治局は19人で構成されていたが、23年10月以降の戦闘で11人が死亡した。
ガザの危機打開のため中東歴訪中の欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)は24日、エルサレムで記者会見し、「イスラエルにはテロに対する自衛権があるが、軍事行動は釣り合いが取れていなくてはならない」と指摘。停戦や人道支援物資搬入の再開が重要だと訴えた。
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