2025-03-21 21:02社会

内密出産、出自知る権利で報告書=親の身元情報「同意なく開示せず」―慈恵病院と熊本市

子どもが自分の出自を知る権利について、熊本市などが設置した検討会で座長を務めた文京学院大の森和子元教授(右)と報告書を受け取った大西一史市長=21日午後、同市役所
子どもが自分の出自を知る権利について、熊本市などが設置した検討会で座長を務めた文京学院大の森和子元教授(右)と報告書を受け取った大西一史市長=21日午後、同市役所

 妊婦が病院にのみ身元を明かして出産する「内密出産」などを行う熊本市の慈恵病院が検討を進めていた子どもが自分の出自を知る権利について、同病院と市が設置した検討会は21日、報告書を公表した。父母の身元情報は「(父母の)同意なく開示しない」と明記し、開示請求が可能となる子どもの年齢は「18歳が適切」とした。
 報告書では出自情報を二つに分類した。氏名や住所、妊娠の経緯、内密出産に至った理由などを含む「父母に関する情報」は病院や児童相談所が保管。開示するには子どもが請求した時点で父母の同意が基本とした。一方、きょうだいの有無や既往歴、父母の子どもへの思いや容姿など「子どもに関する情報」は養育者へと引き継がれ、開示に同意は不要とした。
 収集する出自情報は明確に定義せず、子どもへの開示内容や伝え方については、専門家らが判断することを求めた。
 報告書の検討会で座長を務めた文京学院大の森和子元教授は21日に記者会見し、「出自を知る権利について社会の理解が進むことに期待したい」と述べた。一方、慈恵病院の蓮田健院長は報告書について「子どもの知る権利の保障を目的としていたはずが、阻む壁を強固にした」と同日までにコメント。「現場レベルでマニュアルを別途作る」と話した。 
[時事通信社]

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