女性票取りこぼし、民主誤算=中絶争点化は空振り―米大統領選
【ワシントン時事】米大統領選で、民主党候補のハリス副大統領(60)は事前に予想されたほど女性票を伸ばせなかった。人工妊娠中絶の権利擁護を含め、女性の自己決定権を支持するメッセージを強く打ち出していた民主党にとっては誤算。インフレなど、有権者が別の争点をより重視した可能性が指摘されている。
米メディアの出口調査によると、女性の投票先はハリス氏が53%で、共和党候補のトランプ前大統領の45%を8ポイント上回った。事前の主要調査では2桁の差がついていただけに、民主党の失望は深い。2020年の前回選挙はバイデン大統領がトランプ氏を15ポイント引き離していた。
投票者に最も重視した問題を五つの選択肢で尋ねたところ、「中絶」は「民主主義」(34%)、「経済」(32%)に次ぐ3番手の14%。「移民」(11%)や「外交」(4%)より高いものの、決定的な争点にはならなかった。
民主系世論調査員のジョフ・ホーウィット氏はNBCテレビで「白人女性、とりわけ大学教育を受けていない層では物価高など他の争点が重視された」と指摘。中絶規制に関しトランプ氏は極端な中絶反対派と距離を置き、「各州の判断に委ねる」との立場を貫いたことで、争点化しづらかったという側面もありそうだ。
大統領選と同時に10州で実施された中絶の権利を巡る住民投票では、擁護派が西部アリゾナ州などで7勝する一方、ネブラスカ州などで3敗という結果に。これまで中絶がテーマとなった住民投票で擁護派はほぼ「負け知らず」だったが、揺り戻しも見られた。
[時事通信社]
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