ハリス氏支持の芸能人落胆=「労働者置き去り」で裏目か―米大統領選
【ロサンゼルス時事】米大統領選で共和党のトランプ前大統領が返り咲きを決めたことで、民主党のハリス副大統領を応援してきた芸能人らに落胆が広がっている。各地で開かれたハリス氏の選挙集会では、セレブが登壇しスピーチやパフォーマンスで支持を呼び掛けたが、その裏でこれまで民主党を支えてきた労働者層が置き去りにされたことが敗因との見方も出ている。
「女性に対する戦争だ」。若者に人気の女性歌手ビリー・アイリッシュさんはSNSで、「男らしさ」を前面に出したトランプ氏の勝利に憤りを示した。映画「スター・ウォーズ」で初期3部作の主役ルーク・スカイウォーカーを演じた俳優マーク・ハミルさんは「ふさわしい人物が(米国の)指導者になると話す人が間違っていたと証明されたのか、それともここは米国ではないのか」と嘆いた。
ハリス氏の集会では、ビヨンセさんやレディー・ガガさんといった女性歌手がパフォーマンスを披露。女性やLGBTなど性的少数者の権利を擁護するハリス氏を積極支援した。ブルース・スプリングスティーンさんら男性歌手も駆け付け、セレブの応援はハリス氏が優勢だった。
だが、これが裏目に出た可能性がある。ハリス氏は「中間層の強化」を掲げながら、演説で具体的政策に踏み込む場面は少なかった。共和党は、同氏が富裕層でもあるセレブの集客力に頼り、インフレに苦しむ一般国民に目を向けていないと攻撃。同党のルビオ上院議員は「ハリス氏にはセレブ、トランプ氏には毎日懸命に働く米国市民」とやゆした。
2016年と20年の大統領選で民主党候補に名乗りを上げた急進リベラル派のサンダース上院議員(無所属)は6日、「労働者階級を見捨ててきた民主党が、労働者階級から見捨てられたのは驚きではない」と強調。「多くの国民は怒り、変化を求めたのだ」と舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判した。
[時事通信社]
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