対中連携の不安定化懸念=トランプ氏勝利、圧力増必至―台湾
【台北時事】米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことで、台湾では中国からの武力侵攻を念頭に強化してきた対米関係の先行きへの懸念が広がった。軍事費増額の要求や半導体産業への圧力が強まれば、関係が不安定化することは避けられないとみられている。
台北で7日に開かれた有識者フォーラムでは、大手金融機関のエコノミストが「軍事予算の増額を要求される可能性が高く、台湾にとって最大の圧力になる」と指摘。いち早く対策チームをつくってトランプ氏側と交渉する必要があると訴えた。
トランプ氏は政権1期目に、高官の相互往来を促進する「台湾旅行法」署名や米軍艦による台湾海峡航行など米台連携を強化した。しかし、今年に入ってから米メディアに「台湾は防衛費を払うべきだ」「米国の半導体ビジネスを奪った」と台湾に対する不満を漏らしている。台湾有事での米軍介入をバイデン氏が繰り返し明言したのに対し、トランプ氏は方針を示していない。
台湾ではもともと、有事に米軍は支援してくれないという「台湾放棄論」がくすぶる。台湾当局は、中国が2期目のトランプ政権下でこの放棄論を台湾内に浸透させる情報戦を活発化し、米台分断を狙うと警戒している。
中国の軍事的脅威に直面する台湾にとって米国は無二の後ろ盾だ。頼清徳総統は6日、自身のX(旧ツイッター)でトランプ氏へ祝意を示し、「台米の長期にわたるパートナーシップが引き続き地域の安定の基礎となると確認している」と強調。良好な対米関係維持を望む姿勢を示した。
[時事通信社]
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