月面着陸「現実感増した」=新宇宙飛行士の米田、諏訪さん
新たに宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士として認定された米田あゆさん(29)、諏訪理さん(47)がこのほど、インタビューに応じた。日本が参加する国際月探査「アルテミス計画」では2020年代後半にも日本人初の月面着陸が期待されており、2人は「現実感が増した」「人類がまた月を目指しているという雰囲気を肌で感じた」と語った。
2人は21年、約13年ぶりに始まった宇宙飛行士選考に応募。4000人超の中から書面や面接など数次の審査を経て、昨年2月に候補者に選抜された。
その後、約1年半にわたって宇宙飛行士に必要な基礎的知識や技能について学ぶ基礎訓練を受けた。月面を想定した地質調査の実習や、日本が開発中の月面探査車の運転シミュレーションなども体験した。
基礎訓練を終えた米田さんは、月面探査について「入る前より現実感が増した」とする一方、「そう簡単ではないことも感じた」とも。「月に行くまで、まだまだ行く道がたくさんあるというのが明確になった」と決意を新たにした。
諏訪さんも「訓練の中で、われわれも月を目指していると感じた」と振り返り、「日本にとっても大きなプロジェクト。チームの一員として、どう成功に導いていけるか、どう貢献できるかを考えながら訓練をやってきた」と語った。
民間による宇宙開発が活発になる中、政府や公的機関が巨額の資金をかけて月や火星の探査を行うことへの疑問の声もある。諏訪さんは、国際宇宙ステーション(ISS)などを例に、「国が先鞭(せんべん)を付けたから、今の市場開発につながっている」と説明。「月や火星に経済圏や人間の活動領域を広げていく中で、やはり国が始めて、利用の時代に持って行く使命がある」と強調した。
米田さんも「人類を代表して最先端(の地)に行くという側面で言うと、国の宇宙飛行士の役割は大きい」と指摘。「皆さんの応援があってこそ、宇宙で仕事ができるので、宇宙で得た知見や、次世代の人材をインスパイア(触発)する面、国際的なプレゼンス(存在感)を高めるなど、皆さんに何を恩返しできるのかを考えながら活動していきたい」と述べた。
[時事通信社]
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