充実進化で2階級制覇=寺地、ぶれずにTKO勝ち―ボクシング世界戦
自らの宿題を全うし、寺地は言った。「これからも新しい拳四朗を見せたい」。緊張で入場時からの記憶がおぼろげだった転級初戦を制し、「本当にほっとした。練習通り、ぶれずに突き通せた」。進化した姿を示し、2階級制覇の証しとなる緑のベルトを掲げた。
全てが柔らかく、機敏だった。左ジャブは見せて良し、打って良し。返しの右は上下に当たる。3回。右カウンターで相手の腰が落ちた際、「向こうは打ち合いが好き。自分を貫き通そう」と冷静に考え、深追いしなかった。徐々に相手の鼻を腫れ上がらせ、11回開始直後にレフェリーが試合を止めた。
充実した日々を取り戻した。夏にライトフライ級の2団体王座を返上して転級。以前は1日1個しかおにぎりを食べられず、準備運動だけで息が上がっていた減量苦から解放された。「強化に集中できている。気持ちも楽」。細部を詰めた強度の高い練習は、心身に活力が戻ってこそだった。
世界戦の通算勝利数が、具志堅用高を抜く日本歴代単独3位の15勝目となった。新天地で掲げるのは、4団体王座統一。「統一戦へ、いいスタートが切れた。どんな相手でも進化していきたい」。新たな夢へと突き進む32歳は、なお花盛りだ。
[時事通信社]
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