ウクライナ4州「併合」宣言から30日で2年=撤退支持の調査結果も―ロシア
ロシアのプーチン政権が侵攻するウクライナ東・南部4州の「併合」を宣言してから30日で2年となる。西側諸国はもちろんロシアの大半の友好国でさえ「力による一方的な現状変更の試み」を認めず、4州の制圧も未完。長期化で戦死傷者が増える中、ロシア国民の間にはウクライナからの撤退論もくすぶっているもようだ。
◇死傷者60万人か
「ロシア軍の撤退を支持する」。独立系世論調査機関「エクストリーム・スキャン」が今月10~17日、電話調査で800人に回答を得たところでは、こう考える国民が49%だった。「反対」は33%だったという。
背景には、ウクライナ軍が8月にロシア西部クルスク州を越境攻撃し、一部を占領したという事情がある。プーチン政権は「歴史的領土」と主張するウクライナ東・南部4州の支配地域の拡大に向けて主力部隊を投入する一方、ロシア本土の防衛は手薄になっていた。同機関の調査によると、侵攻よりもクルスク州奪還の方が大事だという回答は53%に達した。
ロシア側の戦死傷者の増加も深刻だ。英BBC放送などによれば、死者は公開情報で氏名を確認できただけで7万人以上。スターマー英首相は最近、死傷者を「60万人」と推計した。
ロシアでは2022年9月に予備役30万人の部分動員令が出されてから2年が経過した。プーチン大統領は今月16日、軍の総兵力を18万人増の150万人にする大統領令に署名。志願兵が頼みの綱で、入隊時の一時金を大幅に積み増しているが、こうした手法に限界が見えれば、追加動員が現実味を帯びる。
◇「平和サミット不参加」
ウクライナ側は、東部ドネツク州でロシア軍の猛攻を許しつつも、越境攻撃を継続。プーチン政権から譲歩を引き出すための「カード」としてクルスク州の占領地を維持している。11月にも和平案を協議する第2回平和サミットを開催し、ロシアへの圧力を強めたい考えだ。
「ロシア代表は参加しない」。ザハロワ外務省情報局長は今月21日の声明で、平和サミットの計画に反発。越境作戦と並んで西側が供与した長距離ミサイルによる対ロ攻撃を警戒し、ゼレンスキー政権を「テロリスト」呼ばわりした。プーチン氏は25日、核兵器の使用条件を示した核ドクトリン(核抑止力の国家政策指針)の改定方針を発表。軍事支援する欧米も核攻撃の対象になると示唆し、威嚇を強めた。
[時事通信社]
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