大の里、故郷照らす光に=被災地にさらなる吉報を―大相撲
大相撲で25日、大の里(24)の大関昇進が決まった。初土俵から所要9場所は昭和以降最速。大いちょうを結えず、前代未聞の「ちょんまげ姿」で記者会見し、「実感が湧いた。本当にこれからだなと思う」と述べた。
石川県出身。能登半島地震で被災した故郷への思いは強い。復興を目指す中、自身が2度目の賜杯獲得を決めた秋場所14日目の21日には、記録的大雨が襲った。「大変な状況になっている。自分の相撲で元気を出してくれればうれしい」。晴れ舞台で笑顔が神妙な面持ちに変わった。
祖父は今も仮設住宅での暮らしを余儀なくされている。慰問で訪れた避難所。涙を流して喜んでくれた人の顔は忘れていない。「優勝と大関昇進という明るい話題を石川県に届けられた」。口上に「唯一無二」の言葉を入れた。被災地を照らす光になろうとしている。
石川県からは1999年名古屋場所後の出島(現大鳴戸親方)以来の大関誕生。同親方は「僕と同等ではなく、もっと上にいってほしい。大関の頑張る姿は県民に勇気を与える」と期待する。来月6日に予定されている金沢巡業のチケットは既に完売。看板力士として凱旋(がいせん)する。
初土俵からわずか1年半足らずでたどり着いた地位。「気を引き締めて頑張りたい。まだここで終わりじゃない」と最高位を見据える。伝達式に駆け付けた父の中村知幸さんは「(元横綱の)輪島さんに並ぶまでは石川の人は認めてくれない」。真価を問われるのはこれから。さらなる吉報を届けるつもりだ。
[時事通信社]
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