「地図の母」新ギャラリーで公開へ=18世紀作成、南シナ海訴訟で証拠採用―フィリピン
【マニラ時事】290年前に作成され「フィリピン地図の母」と呼ばれる地図が、同国の首都マニラの国立図書館に新設されるギャラリーで9月から公開される。この地図は南シナ海の領有権を巡る訴訟で、2016年に中国側の主張を退けた仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が証拠として採用。南シナ海で中比対立が続く中、比側には存在を改めてアピールする意図がありそうだ。
正式名称は「ベラルデ地図」。イエズス会のスペイン人修道士ペドロ・ムリリョ・ベラルデと2人のフィリピン人が作成し、1734年にマニラで発行された。ルソン島西方、比の排他的経済水域(EEZ)内にあるにもかかわらず、中国が実効支配するスカボロー礁(中国名・黄岩島)とみられる環礁が記載されている。
現存するのは50枚弱とされ、そのうち1枚が英国の公爵家の家宝として長く保管されてきた。仲裁裁判に関与していた比最高裁判事が存在を知り、オークションに出品させることに成功。協力したフィリピンの企業家が、14年に約1200万ペソ(約3100万円)で落札した。その後、英政府を説得して「返還」を実現し、17年に比政府へ寄贈した。
現在は国立図書館の常設ギャラリーに展示されている。9月以降は多くの来訪者が見込まれる新ギャラリーに場所を移し、引き続き無料で公開されるという。
[時事通信社]
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