2024-08-14 18:27

岸田首相が退陣表明=裏金で引責「党変わる一歩」―石破氏ら後継狙う・総裁選

 岸田文雄首相(67)は14日、首相官邸で記者会見し、9月に予定する自民党総裁選に出馬せず退陣する意向を表明した。派閥裏金事件による深刻な政治不信を踏まえ、「自民が変わることを示す最も分かりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ」と語った。次期首相を争う総裁選には、石破茂元幹事長(67)や茂木敏充幹事長(68)らが出馬に意欲を示している。
 首相は会見で「派閥解消、衆院政治倫理審査会出席など国民の方を向いて重い決断をした。残されたのは自民トップとしての責任だ」と指摘。「組織の長として責任を取ることにいささかのちゅうちょもない。この時点でけじめをつけて総裁選に向かいたい」と述べた。
 自民は20日の選挙管理委員会で、総裁選日程を決定する。首相は「積極的に手を挙げて真剣勝負の議論を戦わせてほしい」と訴えた。
 支持候補については「不出馬を表明した人間が何か言うのは控えるべきだ」と述べるにとどめた。ただし、新総裁は「改革マインドが後戻りすることがない方であってもらいたい」と強調。「一致団結して真のドリームチームを作ってもらいたい。大切なのは国民の共感を得られる政治を実現することだ」とも語った。
 首相は2021年9月の総裁選に勝利し、同10月に岸田内閣が発足。首相は約3年の政権運営について、デフレ脱却や賃上げ、原発再稼働、少子化対策、防衛力強化、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)開催などを列挙し「政策課題の成果は大きなものがあった」と誇示した。
 一方、22年9月の安倍晋三元首相の国葬を決断し、世論の分断を招いた。23年12月には安倍、二階両派と、首相が会長を務めた岸田派で「政治とカネ」の問題が発覚。内閣支持率が低迷し、自民内から岸田首相は衆院選の「顔」にならないとして退陣を求める声が出ていた。
 「ポスト岸田」を巡っては、石破、茂木両氏に加え、河野太郎デジタル相(61)が意欲を示し、小泉進次郎元環境相(43)、小林鷹之前経済安全保障担当相(49)、高市早苗経済安保担当相(63)らの立候補も取り沙汰される。 
 

 ◇首相会見ポイント
 一、自民総裁選の不出馬と退陣を表明
 一、党が変わる一歩は自分が身を引くこと
 一、新総裁は「改革マインド」必要
 一、支持候補は明かさず
 一、3年の政権運営「成果大きい」
 

 ◇岸田首相の足跡
【2021年】
 9月 自民党総裁選で河野太郎氏ら3人を破り勝利
10月 第100代首相に就任、岸田内閣発足
    新しい資本主義実現会議が初会合
    自民が衆院選で261議席
11月 第2次岸田内閣発足
【22年】
 7月 安倍晋三元首相が銃撃で死去
    自民が参院選で改選過半数の63議席
 8月 第2次岸田改造内閣発足
 9月 安倍元首相の国葬
12月 旧統一教会問題で被害者救済法成立
    安保関連3文書改定で反撃能力明記
【23年】
 3月 韓国大統領と関係正常化で合意
    ウクライナを電撃訪問
 4月 補選期間中に爆発物を投げられる
 5月 新型コロナウイルスが5類に移行
    広島で先進7カ国首脳会議(G7サミット)
 6月 首相秘書官だった長男を更迭
    LGBT理解増進法が成立
 8月 東京電力福島第1原発の処理水放出
 9月 第2次岸田第2次改造内閣発足
10月 旧統一教会の解散命令を請求
12月 東京地検特捜部が裏金事件で安倍派事務所など捜索
【24年】
 1月 能登半島地震
    岸田派の解散を表明、安倍派などが追随
 2月 政治倫理審査会に出席
 3月 日経平均株価が初の4万円超え
    日銀がマイナス金利解除
 4月 裏金事件で安倍派元幹部らを処分
    国賓待遇で訪米
    衆院3補選で自民全敗
 6月 1人4万円の定額減税実施
    改正子ども・子育て支援法が成立
    改正政治資金規正法が成立
 7月 「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録決定
    日銀が追加利上げ
 8月 日経平均株価が乱高下
    総裁選不出馬を表明
[時事通信社]

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