経済、中絶、移民で応酬=「過激」「うそつき」非難合戦―ハリス、トランプ氏初討論会・米大統領選
【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)時事】米民主党のハリス副大統領(59)と共和党のトランプ前大統領(78)による初の大統領候補テレビ討論会が10日、東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われた。大統領選の投開票日が11月5日に近づく中、大接戦を左右する終盤戦最大のヤマ場。両氏は争点となる経済や移民、人工妊娠中絶を巡り、激しい非難合戦を展開した。
ハリス氏は冒頭、トランプ氏に歩み寄り握手したが、経済を巡る質問が始まるや否や攻勢に出た。「対立候補(トランプ氏)は億万長者と大企業に減税し、財政赤字を増やす」と迫ると、トランプ氏は「今は史上最悪のインフレに見舞われている」と応戦。両氏は互いの経済政策を「ノー・プランだ」と決め付けた。
人工妊娠中絶を巡り、ハリス氏が「トランプが返り咲けば全国で禁止令を出す」と指摘すると、トランプ氏は「うそだ」と反論。トランプ氏は不法移民の増加を責め立てたが、「移民が住民のペットを食べている」などと珍妙な説を唱え、「過激だ」とハリス氏の嘲笑を買った。
元検事のハリス氏はトランプ氏を「憲法を破棄し、政敵に対し司法省を武器化する」「大統領選の結果がトランプ氏の意に沿うものでなければ流血の事態になる」と鋭く追及。トランプ氏は「彼らの言うことのせいで、私は頭に銃弾を受けた」と切り返し、民主党こそ司法を武器化していると反論した。
トランプ氏はロシアのウクライナ侵攻について「この戦争を終わらせ、交渉して合意に達することが米国の最大の利益だ」と語った。これに対しハリス氏は、トランプ氏はウクライナを「見限る」と警鐘を鳴らした。
各種世論調査で両氏は互角の戦い。討論会は2回のCM休憩を挟み90分超、無観客で行われた。発言妨害を防ぐため持ち時間以外はマイクが切られたが、両氏はマイクオフ時も応酬を重ねた。
[時事通信社]
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