政権維持へ「政策まい進」前面=岸田首相、集中的に視察・会議
岸田文雄首相が各地の視察や閣僚会議の創設を集中的に続けている。自民党派閥の裏金事件で傷ついた政権を立て直すため、政策課題にまい進する姿勢をアピールするのが狙いだ。9月に想定される党総裁選での再選を視野に入れる。
首相は24日に北海道を訪問。次世代半導体の国産化を目指すラピダス(東京)の工場建設現場を視察する。政府は半導体を経済安全保障上の重要物資と位置付けており、重点的に支援する方針を打ち出すとみられる。
東京都町田市や三重県も今月中に訪問する。町田市では子ども子育て支援、三重県ではデジタル化を進めて地方の活力を引き出す「デジタル田園都市構想」に関連した発信を検討している。
19日には長野県軽井沢町を訪れ、国産の間伐材を使った会員制の貸別荘を視察。廃棄される製品や原材料を再活用する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」を推進するため、関係閣僚会議を設けて月内に初会合を開く方針を明らかにした。
障害を理由に不妊手術を強いた旧優生保護法を憲法違反とした最高裁判決を踏まえ、全閣僚参加の会議も近く創設する。偏見や差別の根絶のため、教育・啓発活動の強化に政府一丸となって取り組む姿勢を示す。
19日は軽井沢で経団連の夏季フォーラムにも参加し、講演で「ひたすら政策実行に注力する。これが私の責任だ」と強調した。相次ぐ視察に関し、首相周辺は「今後に向けて新しい視点を取り入れたい」と語り、総裁選後の政権運営を見据えたものだと明かす。
[時事通信社]
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